77番から81番
花は根に鳥は古巣にかへるなり春のとまりを知る人ぞなき 崇徳院(崇徳天皇)
花は根に、鳥は古巣に帰ると言うが、春の帰り着く所を知る人は居ない。
※和漢朗詠集の「花悔帰根無益悔 鳥期入谷定延期」という詩を踏まえて詠まれたものだと思います。詩の意味は「花は散ってしまったが悔いてもどうしようも無い。鳥は谷に帰ろうとしたが、その日を延ばすだろう」といった感じでしょうか。
閏三月の詩であり、和歌も「暮れの春」を詠んでいるので、花は桜で鳥はウグイスだと思われます。春との別れを惜しむ歌ですね。
玉垂の御簾さわぐまで風吹けば夜殿のうちも涼しかりけり 源兼昌
美しい簾が騒ぐほどに風が吹いているので、寝所の中も涼しいのです。
※永久百首の歌。題は「避暑」で、玉垂や御簾、夜殿という言葉から考えると、客として招かれた先で詠んだと言う、設定なのでしょう。
誰もみな花の都に散りはててひとり時雨るる秋の山里 左京大夫顕輔(藤原顕輔)
誰もが皆、花の都に散らばって行ってしまい、私は一人時雨の降る秋の山里に居ます。
※通っていた女性が亡くなり、供養が終わった後も寺に残り、籠って詠んだ歌。「時雨るる」から涙に暮れていた事が伝わります。
長からむ心も知らず黒髪の乱れて今朝は物をこそ思へ 待賢門院堀河
末長く変わらない心かも分からず、黒髪が乱れるように今朝は物思いに沈んでいます。
※小倉百人一首と同じ歌です。久安百首で「恋の心」を詠んだものです。おそらく「後朝の歌」という設定。
主の待賢門院が出家したら、彼女も同僚と共に出家し、その主が亡くなった後に詠んだ歌から、主を慕う心が伝わる方です。
はかなさを他にもいはじ桜花咲きては散りぬあはれ世の中 後徳大寺左大臣(徳大寺実定)
その儚さは桜の花以外に喩えようも無い。咲いては散ってしまう、哀れな世の中よ。
※世の中には、様々な意味合いが含まれているんでしょうね。そんな世の中を喩えるには桜の花しか無いという、歌になります。




