第五話Х仲間
あたしは人と一緒にされるのが大嫌いだ。それぞれ違う人間なのに、簡単にひとまとめにしないでほしい。
例えば学校の先生。
「君たちは受験生だというのに、ろくに勉強もしないでそれで受かると思ってるのか!?(怒)」
つーか、あたし進級する気ないし。
家とか予備校通って勉強してる子もいると思うけど?
たぶん先生は、そこまで深い意味で言ったつもりじゃないんだろう。
だけど、世間に対して壁を造ってるあたしには妙にイラつきを覚えた。
この世の中
嘘で
塗り固まられた世界
ほとんどの人間が
同情を欲し
それに答える人間を
欲しがる
そんな友情ならいらない
それだけの気持ちなら…
傷を舐め合っている人間は相手の為に
してる訳じゃない
自分の傷を消毒する為に
他人が必要だから
してるだけ
相手の為にと思ってしてることは
実は…‥
自分の為だったりする
“同情”
「ガチャッ」
保健室のドアが勢い良く開く。
「あ!おはよ!」
「おはよー!おまえら来てたのかよ!」
「ってかこっちの台詞!」
「はいはい。」
入ってきたのは愛と亜美と香奈だった。
亜美は背が高くて、髪も長い。高一の時に知り合った。クラスは同じになったことがないけど、愛の友達だったから自然と仲良くなった。
香奈とは高二の時にクラスが同じだった。
黒いミディアムヘアーに、やさしそうな目。
一人でいたあたしに話し掛けてきた子だった。最初は抵抗があったけど知らず知らずのうちに、あたしがよく話すようになっていた。
「結宇、写真撮影は?」
「写らねー」
「結宇らしいね。」
香奈がいった。
「まーねー!」
あたしはそう答えた。
学校が嫌いなのに、なんでわざわざ楽しそうに笑って、学校の連中と写らなきゃいけない?
“2007年の卒業生”として記録が残るのもごめんだ。
「キーンコーンカーンコーン…‥」
チャイムが鳴った。短い10分休み終了の音。
「結宇、行きなさい!」
メグの目がキラリと光る。
あたしはしぶしぶみんなと教室へむかった。