第四話Х保健室
次の日━━━━
結局あたしは写真撮影をしなかった。
どちらかと言うと、写るより撮るほうが好きだ。
自分の好きなようにレンズにおさめられるから。
だけど、今日は家で一日寝てるわけじゃなかった。
クラスには足を運ばずに、保健室にいた。
「授業は?」
「出ない」
「行きなさいよ〜」
「めんどくせーいいの!」
「じゃ次行くんだよ!」
「はいはい」
ここはあたしの学校で一番好きな場所。夏は涼しくて、冬はあったかい。ベットがあるからいつでも寝れるし━━━━
っていうのは冗談で。
まぁ一理あるけど…‥
「昨日はどうしたの?」
「寝てたー」
「なにやってんのー!」
「寝る子は育つ!!」
━━━━━━ドカッ
止めの一撃。
「いってぇーな!そんなんじゃ皺増えるぞ!!」
「まだまだ若いも〜ん☆」
いつもこんな感じ。
彼女は今年からうちの学校で働いている保健室の先生。あたしは授業をサボってよくここに来る。
メグは、どんなに忙しくてもあたしの話をいつも聞いてくれる。たわいのない話や、真剣な話まで。
メグは22歳で歳が近いから、まるでお姉ちゃんみたいな存在だった。
上がいないあたしには、嬉しかった。
「メグさぁ〜化粧すればキレイなのに、なんでいつもすっぴんなの?髪も中途半端だし」
「私はありのままの姿の自分でいたいの。それって大事なことだよ。」
「ふーん。」
あたしはわかったようで、わからなかった。
メグの発した言葉は聞き取れたけど、理解はできなかった。
メグは内面も外見も、ありのままの自分でいたいんだ。そう解釈した。
あたしは内面さえありのままなら、外見なんてなんでもいいじゃんって思う。
だけど人間とは皮肉なもので、外見でその人を判断することがほとんどだ。
どんなに自分を持ってる人でも、外見が周りの人と同じようだと、あーあの人も“世間の流行”に流されてるんだなと思ってしまう。
少なくともあたしは。