第二話Х午後二時
目が覚めた…‥
携帯に目をやったら、昼の2時だった。今日も友達から連絡は来てなかった。
学校に行かないのは毎度のことなので、特に心配もしてないんだろう。
だるい体を起こして煙草に火をつけた。
吐いた煙が充満して、またあたしの部屋を煙草臭くした。
ニコチンの威力はどのくらいのものなのだろうか?
2年前は真っ白だった壁も、今では黄ばんでいた。
「今日は6時間だっけ」
今から行ってもどうせ間に合わない。
あたしはコンポの電源をつけた。流した音楽はコートニー・ラヴ。激しい演奏とは対照的に、コートニーは悲しい歌を歌っていた。
死んだカートのことを思ってなのか、それとも誰か他の人のことなのか。。
人は歌を聴いて、それが心に残る歌だったとき、何に魅了するのだろう?
演奏の上手さ・納得させる歌詞・アーティスト本人の偉大さ…‥
人それぞれだし、その歌一つ一つによって理由は色々あると思う。
この時あたしは歌詞に共感した。コートニーの力強い声によって歌われたこの悲しい歌の歌詞に。。
思い出す
忘れもしないあの夏
正確に言えば
忘れられない夏
今では
時間が傷を癒して
キレイな思い出に
なってるはずだった
だけど
独りになると
不意に
つらい思い出が
頭をよぎる
時がある
気付いたら手首を切ってるあたしがいた。
流れた血は
真っ赤で
あったかくて
何故だか
安心した
今まで薬を飲んでも、煙草を吸ってもイライラしてたのは、最近切ってなかったからだったんだと思った。
血…‥
あたしの一部…‥
AB型の血…‥
あたしの血。
そのまま泣き叫んで疲れた赤ん坊のように
あたしは眠った。。