再開(2)
いきなり頭の上から声がした。
見上げると、さっきまで前にいた三人がそこにいた。
「…いーくん…」
「あら?知り合いなの?でも、今はHR中だから話は後にしてもらえるかな?席は…あぁ、ちょうどいいわ。覇井咲くんは西条さんの隣、小宮くんは水野さんの隣、新条くんは…一人で小宮くんの後」
『はい。わかりました』
――――ガタガタン
「それでは今日の日程を――」
――――キーンコーンカーンコーン
「言えなかったので紙を貼っておきますね。……では」
――――ガラッ
「…さて、さっきの話だが、琉尉だけじゃない。俺も、夕夜も覚えてる…忘れるはずがないだろう?里香」
「そうそう」
「仲良しなんだからな」
里香にそう言って三人はニッコリ笑った。
「美琴…いーくん、ゆーくん」
そう言った里香の目からは涙が…。
――――ガバッ
え…。
「ありがとう」
里香はそう言って小宮くんに抱きついた。
抱きつかれている小宮くんはというと…顔が真っ赤。
「い…いや…」
「あ!琉~尉~」
そう言う新条くんは顔が怒ってる…。
「はぁ…相変わらずだな…」
あの…なぜ覇井咲くんはそこまで冷静なのでしょうか…?
「あ…ごめんね。紹介しなくちゃだよね?」
里香は小宮くんから離れてそう言った。
「そこにいる女の子は、西条仔己芦」
「宜しくな。西条」
「宜しくなっ西条姫」
ひ、姫?
「宜しくね。西条さん」
「こ、こちらこそ」
「えーとこっちは言わなくてもわかるよね?」
え…。
「うん。覇井咲くんと、小宮くんと、新条くん…だよね?」
「うん。そうだよ」
里香がそう言うと、覇井咲くんがこっちを向いた。
…ん?
「なぁ。ここはランク6以上の魔法使いが通う金持ち学校だろ?」
「え…うん」
何を…言いたいんだろう…?
「西条は自分の家のこととか、ランク…自分の魔法のこととか、自慢しないのか?」
「美琴っ」
里香が怒ってる…。
でも…。
「あの…自慢って何を言えばいいの?」
『え…?』
「西条姫…家はともかく…ランクは?」
「え…9…だけど?」
『9!?』
「西条。9なのに…自慢しないのか?」
「何で?だってランクなんて自慢しなくたって毎日楽しく里香と…みんなと過ごせれば、私はそれでいい。ランクなんてものに縛りつけられて過ごすより、みんなと楽しく過ごしたい」
「仔己芦…そんなふうに思っててくれたんだ…ありがとう」
「そ、そんな。お礼を言われるようなことしてないし」
私がそう言うと、里香がニッッコリ笑った。
「…変ってるな。俺が知ってる中で里香以外そんなふうに言ったのは…お前が初めてだ」
…里香も私と同じようなこと言ったんだ。
「そうだね」
「ハハッ。面白いなぁ~西条姫は」
そ、そんなに面白いかな?
「あ、でもさ…何で俺だけ席一人なんだ?」
「…いいんじゃない?夕夜が一番五月蝿いと思うよ?」
「おい…笑顔でさりげなく言うなよ」
はは…こういう性格知ってるような。
「俺もそう思うぞ」
覇井咲くんがキッパリ言いきった。
「はぁ~。何で美琴も琉尉もそんなに俺に冷たいんだよ」