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【#78】地下4階・第二話:呪いと追跡の狭間で

 リッチロードが杖を振るうたび、呪いの魔力が空間を震わせる。


 ——だが、効かない。


 呪いが俺を襲うたび、シエナのペンダントが輝きを放ち、奴の呪詛を無効化する。


「ほう……貴様、その呪いに耐え得るか」


 リッチロードの骸骨の顔がわずかに歪む。だが、次の瞬間には悠然とした笑みを浮かべていた。


「ならば、これはどうかな?」


 奴が魔導書を開き、空間に刻まれる巨大な魔法陣。


「——冥府より蘇りし魂よ、絶え間なき破滅を与えよ」


 光が弾け、紫黒の炎が俺へと奔る。

 だが、その炎が触れる前に、ペンダントが再び輝き——


 呪いの炎は、霧のように掻き消えた。


「……っ、またか」


 リッチロードの声に苛立ちが滲む。


「いい加減、無駄なことはやめたらどうだ?」


 俺はミスティを構え直し、床を蹴る。


「お前の呪いは俺には効かない——!」


 黒き刃が煌めき、奴のローブを裂く。

 リッチロードはすかさず後退するが、その動きは遅い。


 ——勝てる。


 そう確信した刹那——


「……!」


 背後に、殺気。

 俺は即座に身を翻した。

 そこにいたのは——


 追跡者。


「……来たか。取り込み中なんだがな」


 当然、奴が俺の苦情に耳を貸すはずもない。

 奴は俺と同じ顔をしながら、冷たい視線をこちらに向けていた。その手には、ミスティによく似た黒い剣。


 ——だが。


 リッチロードは、そんな追跡者のことなど意にも介さず、再び呪文を唱えていた。


「……フフ、死ね」


 漆黒の魔力が放たれる。


 ——ドンッ!!


 爆ぜる暗黒の波動。

 俺は素早く後退し、影響範囲から逃れた。

 だが——追跡者には直撃した。奴は完全に不意を突かれた形で、呪いの炸裂をその身に浴びる。


「——ッ!」


 黒い霧が追跡者を包み込み、その身体が軋むように揺らぐ。

 奴の顔がわずかに歪み、ダメージを受けていることが分かった。


「これは……手間が省けたな」

「……ほう?」


 リッチロードが驚いたように呟く。


「貴様ら、味方同士ではなかったのか?」


 どうやらリッチロードは追跡者を知らないらしい。

 だが、それは当然だろう。

 追跡者は俺を仕留めるための存在。エルゴスが生み出した抹殺者。

 だが、リッチロードはダンジョンの支配者の一角。

 リッチロードにとって、エルゴスの造った存在と、ダンジョンに挑む人間の違いなど意味がないのだろう。


「……なるほど、面白い」


 リッチロードが薄く笑う。


「ならば、どちらがより強いか——興味が湧いた」


 そう言って、再び呪詛の波動を練り始める。


 ——つまり、これは三つ巴。


「……手間が増えた、か」


 呟きながら、俺は戦闘態勢を整えた。

 追跡者も、リッチロードも、どちらも強敵。


 だが——


 俺はどちらも斬るだけだ。

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