18話「逆襲」
時は少し遡る。
レオンが負傷した直後、リーラは焦りながら彼の傷口に布を押し当て、簡単な止血処置をしていた。レオンの腹部からはまだ少量の血が流れていたが、彼の顔色が悪い。リーラは一息つきながら、レオンの顔を見つめた。
「まだ無理しないで、動いたら傷が開くわよ」リーラが冷静に声をかけると、レオンは少し苦笑しながら頷いた。
「……わかっている。君の治療のおかげで、なんとか動けるが……このままでは長くはもたないな」レオンが苦しそうに言葉を紡ぐ。
その横で、レイナは槍を握りしめながら周囲を警戒していた。彼女は疲労の色を隠しきれないが、相変わらず真剣な眼差しで敵の動きを見張っている。
「レオンさん、無茶をしないでください。今は私たちがなんとかしなければ」レイナが静かに言葉をかけた。
レイナも平然を装ってるけど、恐らく立ってるのもやっとのはず……早くここから脱出しないと……それにしてもさっきから見張りが一人も来ない、この騒ぎはもしかして………
リーラも頷き、戦況の厳しさを感じつつも、次の行動を考えていた。その時、窓の外から不意にかすかな物音が聞こえ、全員がそちらに目を向けた。
窓が音を立てて開き、まずロウが身軽に中へ飛び込んできた。彼は辺りを見回し、誰も気づかないと思って呟いた。「ほんとにここにいやがった……」
そのすぐ後に、エリーも続いて窓からひょいと姿を現した。レイナは目を丸くし、思わず叫んだ。「エリーちゃん!? なんでここに!?」
リーラはエリーの無事な姿を確認して一瞬安堵しながらも、突然の登場に驚き、次にロウに視線を向けた。「あなた、誰?どうしてエリーを……」
ロウは肩をすくめ、軽く手を振りながら答えた。「ロウ・ファルブレイズだ。商人さ。説明はあとだ、今は急いだほうがいい。カイが出入り口前の大広間で敵を引き付けているが、そう長くはもたない」
「この騒ぎはやっぱりカイが……じゃあ、どうしてエリーがここにいるの?」
ロウはちらりとエリーを見やり、答えた。「あの嬢ちゃんが『みんなの気配を感じる』って言うもんだから、それをたどってきたんだよ」
エリーはロウに続いて、無邪気な様子で「そう、みんなのことが感じられたの。だから、ここに来ればレイナさんたちもいると思ったの」と笑顔で答える。
リーラはエリーの言葉に困惑の表情を浮かべ、眉をひそめた。「どういうこと?気配を感じる?」
エリーはそれには答えず、横たわっているレオンの前にゆっくりと立った。彼女の小さな手が少し震えていたが、その瞳には決意が宿っていた。リーラはレオンの傷口から流れる血に焦りを感じていたが、エリーの行動に驚いて一瞬言葉を失った。
エリーは一瞬、自分の手のひらをじっと見つめた。何かを確信するように、自分の力を感じ取っているかのようだった。そして、静かにレオンの方へ手をかざした。
「エリー……?」リーラは不安そうに声をかけたが、エリーは微笑んで答えた。「大丈夫」
エリーが両手をレオンにかざすと、彼女の手のひらから淡い光が溢れ出した。その光は青と緑が混じり合い、まるで生命のエネルギーそのものが形を成したかのように、ゆっくりとレオンの体を包み込んでいく。光がレオンの傷口に触れるたびに、その傷が少しずつふさがり、血が止まっていくのが見えた。
リーラはその光景に目を見開き、驚愕の表情を隠せなかった。「これは………」
「治癒魔法とも少し違います……これはいったい…」
レイナも驚きを隠せないでいた。
レオンもまた、その感覚に驚いていた。痛みが和らぎ、体の中に力が戻ってくるのを感じながら、彼はゆっくりと起き上がった。自分の腹を見て、傷口が完全にふさがっていることを確認すると、呆然とした表情で呟いた。「今のは……」
エリーは少し恥ずかしそうに微笑んで、言葉を選びながら答えた。「わからないけど……できる気がしたの。レオンさんを助けたかったから……」
リーラはエリーの言葉に深く感銘を受けたが、同時にその不思議な力に対する驚きが隠せなかった。「エリー……一体、あんたは……?」
ロウは、その光景をじっと見つめ、感心したように口元に笑みを浮かべた。「いやあ、すごいもんを見たな。これほどの力を持ってるとは……」と言いながらも、すぐに冗談交じりに肩をすくめた。「でも、感心してる場合じゃないぜ。早くここから脱出しないと。」
その言葉にレイナがすぐに反応し、急いでエリーの前に立って言った。「エリーちゃん!私の傷も治してください!このまま終われません!」
エリーはすぐに頷き、レイナに手をかざした。再び青と緑の光が溢れ出し、レイナの肋骨の痛みが少しずつ消えていくのを感じた。
「私は先にカイのところに行くよ」
リーラもすばやく動き出し、先に行こうとしたが、ロウが呼び止めた。「おい、待ってくれ。あんた、頼みがあるんだ。」
時は再び現在に戻る。
雷の余韻がまだ残る中、レイナは力強く槍を握り締め、カイの隣に立つ。レオンは屋敷の上階からの援護を続け、火の魔法で敵を次々と倒していた。
「カイさん!」レイナが叫び、カイの戦いに加勢する。広間の混乱の中、ドランゴファミリーの屈強な部下たちは動揺していたが、一際目立つスキンヘッドの大男が、こちらに向かってきた。
レイナはその視線を一瞬も外さず、カイに向かって静かに言った。「あの男は私にやらせてください。」
カイは一瞬だけレイナを一瞥し、彼女の決意を感じ取った。「分かった。」と短く答えると、すぐにブルーノの方へ視線を向けた。
「さあ、お前の相手は俺だ」
「ふん、たった三人で何ができる。それに…このブルーノ・ドランゴをあまりなめるんじゃねえぞ」
ブルーノはそう言い、カイに向って構えた。
「おい、嬢ちゃん。どうやって回復したのかはしらねえが、また同じ目に合わせてやるぜ」とスキンヘッドの男は不敵な笑みを浮かべた。
レイナは彼の言葉に怯まず、槍をしっかりと構えて答えた。「先ほどのようにはいきません。次に倒れるのはあなたです。」その決意が込められた言葉に、彼女の瞳が鋭く輝いた。
「さあ、かかってこいよ!」スキンヘッドの男が叫び、両腕を大きく広げ、まるでレイナを挑発するかのように彼女に突進してきた。その巨体が地面を揺るがしながら彼女に迫る。
レイナは冷静だった。彼女は手を前にかざすと、「『雷の中級魔法』!」鋭く叫ぶと同時に、雷の魔法を男に直撃させる。雷の閃光が瞬間的に男の体を襲い、電流が彼の体を駆け巡る。
「クソッ……!」スキンヘッドの男は一瞬体を痺れさせたが、すぐにその力を振り払った。「言っただろう!おれに雷の魔法は通用しねえんだよ!」
「やはり厄介ですね、その遺物」
彼はすぐに反撃に転じ、大きな拳を振りかぶる。レイナはその攻撃を紙一重でかわし、すかさず後ろに跳躍して間合いを取った。男の一撃は地面を叩きつけ、石畳が砕け散った。続けざまに何度も拳を繰り出す男だったが、レイナはその全てを見事に避けていく。一進一退の攻防が続いた。
レイナが素早く槍を突き出す。その突きは鋭く、まるで風を切るかのような速度で男の胸元を狙った。しかし、男はガントレットを持ち上げ、その一撃を正確に弾き返す。金属同士がぶつかる音が響き、火花が散った。
「さすがに速いな」と、男は軽口を叩きながら、素早く反撃に移る。重い一撃がレイナの槍に向かって振り下ろされるが、彼女は軽やかに後ろに下がり、それを回避した。
レイナは間髪を入れずに再び槍を突き出す。今度は足元を狙った攻撃だったが、男は即座にそれを察知し、ガントレットで槍を叩き落とすように受け流した。レイナは瞬時に次の攻撃に移り、槍を横に振って男の側面を狙うが、男はその一撃にも素早く反応し、ガントレットで防御する。
レイナとスキンヘッドの男の戦いは、一進一退の攻防が続いていた。レイナの槍が鋭く突き出され、男はそれを腕に装着したガントレットで受け止める。金属同士がぶつかる甲高い音が何度も響き渡る。レイナは軽やかに槍を操り、間合いを取りながら連続して突きを放つが、男もまるで重い壁のように一つ一つの攻撃を的確にガードしていた。
「互角だな。楽しませてくれるじゃねえか」と、男は余裕を見せて笑い、ガントレットを構え直す。彼の目は、次の瞬間を狙う獣のように鋭く光っていた。
レイナはその言葉に冷笑を浮かべ、槍を素早く回転させながら言い返した。「笑わせないでください。互角なのは、私が準備していたからです。」
その瞬間、レイナの槍の先端が雷のエネルギーを帯び、青白い光を放ち始めた。男の目が驚愕で見開かれる。
「こいつ……俺と戦いながら魔法の準備をしていたのか?!」男は信じられないという表情を浮かべながら後ずさる。
だが、すぐに彼はニヤリと笑い、強気な態度を崩さない。「だが、俺に雷の魔法は通じねえ!お前も見ただろう、このネックレスの効果でな!」と胸元のネックレスを見せつける。
レイナは冷ややかな目で男を見つめ、口元にわずかに笑みを浮かべた。「試してみますか?」
彼女はすっと槍を掲げ、低く力強く呪文を唱えた。「『雷の上級魔法』!」
その瞬間、雷鳴が轟き、天からまるで稲妻が落ちるように強烈な雷がスキンヘッドの男に直撃した。屋内にもかかわらず、雷の閃光が激しく弾け、男の周囲に青白い電流が迸った。雷の力は男の体に襲いかかり、全身に強烈なしびれを与える。
「ぐあああっ!」男は痛みとしびれに耐えながら、その場に踏みとどまろうとする。ネックレスがいくらかのダメージを防いでいたが、それでも雷の力は彼の体を蝕んでいく。
「……これも耐えるとは、遺物とはすごいものですね」レイナは槍を構え直しながら冷静に観察していた。
男は必死に笑いを浮かべようとしたが、全身が痺れ、動きが鈍っていた。「くそ……おれには雷の魔法が通じないはずだ……!」
レイナは感心したように軽く頷きながら言った。「たしかにその遺物の防御力は素晴らしいですね。しかし、少し頼りすぎたのでは?」
男は自分の手足が動かないことに気づき、愕然とした表情を浮かべる。体中に走る痺れが彼の動きを封じていた。
「さて、これで終わりです」レイナはそう言うと、槍を軽く振り、雷のエネルギーを消し去った。次の瞬間、彼女は槍の柄の部分で男の頭部を力強く殴りつけた。
「ぐっ……!」男はそのまま地面に崩れ落ち、意識を失った。
レイナは倒れた男を見下ろし、冷ややかに一瞥をくれた。「あまり私を…私たちをなめないことです」
レイナは槍を再び構え直し、次の敵に備えるように周囲を見渡した。
レオンは上階の窓から見下ろし、混乱に陥る敵をじっと観察していた。彼の手には炎の魔力が集中し、目の前にいる敵を焼き尽くす準備が整っていた。片手を掲げると、彼は冷静に呪文を唱え始めた。
「『火の中級魔法』」
その瞬間、彼の手のひらから炎の球体が現れ、下階の敵に向かって勢いよく飛び出した。炎の球は敵兵たちの真ん中に落ち、爆発的な火炎が広がる。激しい熱が周囲を包み込み、火柱が立ち上がると、兵士たちは混乱し、悲鳴を上げながら走り回る。
「早く上に上がれ!阻止しろ!」下から怒号が聞こえるが、レオンは冷ややかな視線を階下に向け、さらに呪文を唱えた。
「『火の初級魔法』」
先ほどよりも小さい炎の球体が彼の手元に出現し、放たれると階段を焼きながら下へと落ちていく。階段に上がろうとしていた敵兵たちは、その炎によって妨害され、再び火柱が立ち上がる。
「『火の初級魔法』」
今度は複数の小さな火球が敵の群れに向かって放たれた。それらは次々に爆発し、狙った敵を一掃していく。階下は炎の嵐と化し、部下たちは火を避けながら動こうと必死にパニックに陥っていた。
「こっちだ、早く上がれ!」という声があちこちで飛び交うが、火の壁が彼らの進路を遮り、なかなか上にたどり着けない。
レオンはその混乱を冷静に見下ろし、さらに強力な呪文を発動するために両手を構えた。魔力が一層集中し、周囲の空気がピリピリと震える。
すると突然、声が横から響いた。
「なるほどな、火の中級魔法で敵を一掃し、接近してくる奴には初級魔法で対応か。やるじゃねえか。」
驚きつつも、レオンは冷静に振り返った。そこには、レイピアを構えた男が立っていた。その男は余裕の表情を浮かべ、ゆっくりと歩み寄ってきた。
「もっと早く上がってくると思ったよ」レオンが警戒しながら言葉を投げかける。
男はニヤリと笑い、首にかけていたネックレスを見せつけながら答えた。「こいつを取りに行ってたんだよ。この遺物をな」
「なんだいそれは」
「試してみるといい」
レオンの目が一瞬だけ鋭く光る。男が持っているネックレスは、明らかに強力な遺物だ。レオンはすかさず魔力を集中し、再び火の中級魔法を発動させた。
「『火の中級魔法』」
炎が男に向かって直撃し、周囲を灼熱の光と熱が包み込んだ。火の壁が勢いよく燃え上がり、敵を焼き尽くそうとする。しかし、次の瞬間、炎の中からレイピアが勢いよく突き出され、レオンの胸に向かって鋭く飛び込んできた。
レオンの瞳がわずかに揺れる。しかし、その瞬間、突き出されたレイピアは魔力の壁にぶつかり、鋭い金属音を立てて弾かれた。
「……防御魔法か。」
男が呟きながら、一瞬驚いた表情を見せる。
レオンは一瞬も緩めず、静かに微笑みながら口を開いた。「魔法は攻撃だけじゃない。事前に防御魔法を展開しておいたんだ」
男は舌打ちをしながら距離を取る。だが、その目は決して焦っていない。彼のレイピアが再び炎の中から現れると、まるで炎を無力化するかのように、彼の周囲から火の力が吸い取られていくのが見えた。
「火属性の魔法の効果を軽減する遺物か………現代の技術でも似たような魔道具は作れるが、ここまでの効果ではない。やはり古代文明は素晴らしいね」
「そのとおりだ。お前の魔法はもう通じねえ」
「さて、それはどうかな?」
「ほざけ」
レイピアが再び突き出され、レオンに狙いを定める。しかし、またしてもその鋭い攻撃は魔力の壁に弾かれる。男は少し苛立った表情を浮かべながら、舌打ちをした。
「大した魔法だが……防げてあと二発だろう?」男は余裕を持った口調で挑発するが、レオンはそれに答えず、静かに次の魔法を準備していた。
レオンの手元から冷気が発せられ、次の瞬間、鋭い氷の槍が空間を裂き、男に向かって放たれた。
「『氷の中級魔法』」
「……氷魔法!?」男は驚き、咄嗟にその攻撃を回避する。氷の槍は男のすぐ横をかすめ、壁に突き刺さった。
「こいつ、氷の魔法も使えるのか……」男は呟きながら、素早く懐から水魔法に対する耐性を持つブレスレットを取り出し、腕に装着する。
氷魔法は水魔法の応用だ。対水魔法用の遺物で防げるはず
レオンは男が態勢を立て直すのを待たずに、次の魔法を唱えた。
「『岩の中級魔法』」
今度は空中に金属の塊のようなものが出現し、男に襲い掛かった。男は再び驚きつつも、ギリギリのところでその攻撃を回避する。
「岩の魔法まで……?」男は目を見張り、冷静さを保ちながら再びレイピアでレオンに突きかかる。だが、その鋭い突きもまた、魔力の壁に弾かれる。何度も繰り返される同じ結果に、男の苛立ちは隠せなくなっていた。
「次は風だ……『風の中級魔法』」
レオンの手元から、今度は風の刃が巻き起こり、男を襲った。鋭い風の斬撃が何度も男の周囲を飛び交い、彼の防御を試すかのように繰り出される。
「お前、いくつの魔法適性を持ってやがるんだ……!」男は息を荒げ、目の前の異常な状況に驚愕を隠せない。彼が対峙しているのは、ただの魔法使いではなかった。レオンは次々に異なる属性の魔法を繰り出し、絶え間ない猛攻を仕掛けていたのだ。
「年を取ったせいか、なめられたままでいるのは性に合わないんだ。すまないが、手加減はしない」
レオンの集中力が極限に達する中、彼の魔法の猛攻がさらに激しくなる。男は懸命に防ぎ、回避し続けていたが、その攻撃は徐々に彼を追い詰めていく。
「まだだ……まだ倒れるわけにはいかない……!」レオンの攻撃の合間に、男は必死に体勢を立て直そうとするが、レオンの魔法は止むことなく次々と彼を襲い続けた。
レオンは目の前の状況を冷静に分析していた。中級魔法を使うたびにレイピアの男がわずかな差で攻撃をかわす様子を見て、彼は小さく呟いた。
「中級魔法だと、僅かに遅れるか……。だったら物量で押すしかないな。」
彼の目にはすでに次の作戦が浮かんでいた。男との戦いで温存していた力を解放するように、レオンは両手を広げて次々と初級魔法を繰り出した。小規模ながらも発動の速さを活かし、氷、風、そして岩の魔法が連続して男に襲いかかる。
氷の刃が空を裂き、風の刃が唸り、岩の塊が砲弾のように飛び交った。男は驚愕の表情を浮かべ、身軽に回避しながらも次第に焦りが見え始める。
「こいつ…!近づけない…!」
男は必死にレオンに向かって接近しようとするが、魔法の発動速度が速すぎて、まともに動くことさえ難しい。レオンの魔法は無駄がなく、まるで止めどなく流れるように男を包囲していく。
「くそっ!どうしてこんなに速いんだ…!?」
レイピアを振り回し、魔法を弾きながら必死に耐えたが、いくつかの魔法が彼の体を捉え始める。氷の刃が肩をかすめ、風の斬撃が足元を切り裂き、岩の魔法が彼の胸を打ちつけた。
「ぐっ…!」
男がよろけたところに多くの魔法が直撃し、ついに限界を迎え、膝をついた。体力が尽き、レオンの猛攻に耐え切れず、その場に倒れ込んだ。彼の息遣いは荒く、地面に横たわったまま動かなくなった。
レオンは勝負が決したのを確認すると、静かに息をつき、目を細めた。油断はしていないが、男が起き上がる気配はなかった。
「ふぅ…これで一人片付いた。」
しかし、その時、階段の音が響き、次の敵が上がってくる気配がした。レオンは疲労を隠しながら立ち上がり、魔法を準備した。
「まだ終わってないか…」
数人の部下たちが駆け上がってきたのを見たレオンは、彼らに冷静に向き合った。再び、彼の両手が魔法の力を集め始める。
「さあ、次はお前たちの番だ。」
レオンの声は静かだが、その視線には決して逃れられない冷徹な決意が宿っていた。




