17話「光明」
ロウはにこやかに微笑みながら、「情報はこちらです」と言い、懐に手を差し入れた。ブルーノや部下たちはその動きを注視していたが、次の瞬間、ロウは素早く何かを取り出し、それを床に勢いよく投げつけた。
「これでさよならだ!」ロウの声が響くと同時に、床に落ちた小さな装置が激しい音を立てて煙を噴出し、瞬く間に部屋中に濃い煙が充満した。
「くそっ、何だこれは!」視界が遮られた部下たちは驚き、辺りを見回しながら混乱していた。煙は一瞬で部屋を覆い尽くし、ブルーノを含めた全員が状況を把握できず、呆然としている。
「行くぞ!」カイはその隙を逃さず、勢いよく後ろのドアを蹴破った。ロウはフィーナの妹を抱え込むと、カイと共に勢いよく部屋から飛び出した。部屋の外にはまだ煙が届いておらず、彼らはすぐに廊下を走り抜けた。
「奴らを殺せ!逃がすな!」煙の中からブルーノの怒声が響いた。彼の命令に従い、部下たちは急いで追いかけようとするが、煙で視界が利かず、思うように動けない。
その間にカイは次々と飛び出してくる部下たちを素手で薙ぎ倒し、ロウとフィーナの妹を逃す道を確保していた。部下の一人が剣を振りかざし、カイに襲いかかろうとしたが、カイはその剣を軽くかわし、反撃の一撃で相手を床に叩きつけた。
「ロウ、先に行け!」カイは振り返らずに叫んだ。
ロウは片手を挙げながら、「あとはよろしくな!」と軽く笑って答え、フィーナの妹を抱えて素早く出口に向かった。
カイはロウが背を向けて逃げていくのを確認すると、その場で立ち止まり、後ろから迫りくる無数の部下たちに向き合った。彼の目は鋭く光り、無駄な動きを一切見せずに剣を構えた。
「任せろ……!」カイは低い声で呟き、迫り来る敵に向かって剣を振り抜いた。
「くそ、ボスはまだこないのか」
リーラ達が緊迫した空気の中で沈黙を保っていると、部屋のドアが勢いよく開き、部下の一人が駆け込んできた。
「バブさん!モイさん!侵入者が出入り口付近で暴れてます!」その報告に、レイナを倒したスキンヘッドの男と、レイピアを持った男は顔を見合わせた。
「侵入者?そんなもん、おまえらでなんとかしろよ」とスキンヘッドの男が不機嫌そうに言い放つ。
「それが、相手がとんでもなく強くて……」報告した部下の声には焦りがにじんでいる。
「ったく……仕方ねぇな」バブと言われたレイピアを持った男はため息をつき、部下に軽く顎をしゃくった。「俺たちで片付けてくる。こいつらを見張っとけ。」
二人は不機嫌そうに立ち上がると、部下に命じて部屋を出ていった。
部屋に残されたリーラは、その瞬間をじっと待っていた。静かに様子を窺っていた彼女は、二人が部屋を出た瞬間、目の前に立つ部下に勢いよく飛びかかる。彼女の動きはまるで風のように速く、あっという間に相手に接近すると、スカートの中に隠していた小さなナイフを取り出し、その男の喉元を正確に切り裂いた。
「が……!」男は声を発することもできず、喉を抑えたまま床に崩れ落ちた。血がゆっくりと広がり、部屋の空気が一層冷たく感じられる。
もう一人の部下がその光景に驚き、動揺しながら後退ろうとしたが、リーラは一瞬の隙を見逃さず、次の瞬間にはすでに彼に近づいていた。彼女の手は鋭く、そして正確に動き、男の命を一瞬で奪い去った。
倒れた二人を見下ろしながら、リーラは無表情のまま冷たく吐き捨てた。「暗殺者を縛る時は、もっとちゃんと縛ったほうがいいわよ」
「リーラさん!…っ!」
「無理しちゃダメ、骨が何本か折れてるわ。今すぐ鎖をほどく。でも早くレオンをなんとかしないと………」
リーラはすぐにレイナに駆け寄り、鎖をほどき始めたが、その瞳には焦りが見えていた。
ロウはフィーナの妹を抱えて夜の街を駆け抜けていた。月明かりが細い路地を照らし、彼は何度か後ろを振り返って追っ手の気配を確かめたが、どうやら今のところは追われていないようだった。
「どうやらカイが頑張ってくれてるみたいだな…」
安堵の息を漏らしつつも、彼は油断せずに前方を見据えながら走り続けた。
すると、道の先に二人の影が見えた。そこにいたのはエリーとフィーナだった。フィーナが妹を見つけ、声を張り上げた。
「ルナ!」
「お姉ちゃん!」
フィーナは駆け寄り、ロウの腕の中から妹を抱きしめる。ロウはフィーナの反応を見ながら、妹をそっと下ろして呟いた。「お姉ちゃん?じゃあ、あんたがカイが言ってたフィーナか……なんでここに……」
エリーがその言葉に反応し、ロウに尋ねた。「カイを知ってるの?」
ロウは軽く肩をすくめ、少し息を整えながら答えた。「さっきまで一緒にいたよ。今はあの屋敷の中で、敵を引きつけてる最中さ。あいつ一人でな」
エリーの目が大きく開き、すぐにロウの手を掴んで力強く言った。「じゃあ私をそこに連れて行って!早く!」
しかし、ロウはすぐに首を横に振り、反対した。「だめだ、あそこは危険だ。子供を連れて行けるような場所じゃない。カイもそう言うだろうよ」
エリーは一瞬ためらったが、すぐに決意を固め、目に涙を浮かべながら懇願した。「でも、たぶんそこにレオンさんやレイナさんたちもいる!私にもよくわからないけど……みんなの気配を感じるの!」
「気配?どういうことだ?」
ロウが疑問に思うが、エリーは必死に訴える。
「ほんとなの!特にレオンさんの気配が……小さくなっていってるのを感じるの!」
「お前は一体……」
ロウはエリーの言葉に一瞬驚いたように首を傾げたが、彼女の真剣な表情と必死さに心が揺れた。エリーの涙がこぼれ落ちるのを見て、彼はしばらくの間黙り込んで考えていたが、やがて大きなため息をついて折れた。
「くそ……人の涙を信じない奴は碌でもないやつだって、親父が言ってたっけな……」ロウは呟くように言うと、フィーナに向き直り、真剣な表情で指示した。「あんたはこの辺りで隠れてろ。無理に動いたら見つかるぞ」
フィーナは一瞬ためらったが、妹の手を握りしめ、静かに頷いた。「……わかりました。どうか、気をつけてください……」
ロウはエリーの手を引いて、屋敷へと向かう準備を始めた。「よし、行くぞ。けど、くれぐれも俺の指示には従えよ。危険な目に合わせるわけにはいかないからな」
エリーは涙を拭い、力強く頷いた。「うん!必ずカイたちを助けに行く!」
二人はフィーナたちに別れを告げ、月明かりに照らされた静かな街路を、再び屋敷へと急いで向かっていった。
カイは無言のまま、次々と襲いかかってくるドランゴファミリーの部下たちを正確に切り捨てていく。何分戦っただろうか……しかしいまだ彼の剣の動きは力強く、鋭く、だが無駄のない動きだった。剣が一閃するたびに、相手は次々と倒れ込んでいくが、命を奪うことはない。カイは殺しを避けつつも、全く手加減をしていないことがその表情からわかった。
「……次から次へと……」
カイは冷静に一歩踏み出すと、鋭い剣先を振り上げた。彼の剣はまるで風を切るように素早く、鋭い金属音を響かせて一人目の敵の剣を弾き飛ばした。相手の剣は宙を舞い、カイの勢いに押されて後退する。
「速い……!」相手は驚きの声を上げるが、その声が途切れる前に、カイの剣が正確に肩口を斬り裂いた。致命傷ではないが、動きを封じるには十分な一撃だ。相手は呻き声を上げながらその場に倒れ込んだ。
他の部下たちは怯むことなく次々と襲いかかる。三人の剣が同時にカイを目指して振り下ろされた。しかし、カイはその場で素早く身を低くし、足元を滑らせながら後方へと退いた。敵の剣が空を切る。
「ふっ!」
カイはそのまま反撃に転じた。彼の剣は力強く、そして正確に振るわれた。再び一閃。二人目の敵が足を斬られ、地面に崩れ落ちた。続いて背後から襲いかかるもう一人の部下にもすばやく反応し、剣を振りかざして相手の剣を受け止めた。激しい金属音が響き渡り、火花が散る。
カイは力強く剣を押し返し、敵のバランスを崩すと、そのまま相手の腹部に素早く剣を突き立てた。だが急所は避けており、相手は呻き声を上げて倒れたものの、命を奪われることはなかった。
残った部下たちが一斉に襲いかかる。その中には斧を持った巨漢もいた。カイは一瞬その重量感に圧されそうになったが、冷静に対処した。巨漢の斧が振り下ろされる前に、カイは素早く足を踏み込み、斧の柄を剣で払いのけた。勢い余った巨漢の斧は地面に深々と食い込み、彼の動きが一瞬止まった。
その隙を逃さず、カイはすばやく巨漢の脇腹に回り込むと、強力な横薙ぎの一撃を放った。剣は巨漢の脇腹を斬り裂き、巨漢は呻き声を上げてその場に崩れ落ちた。
「……まだ足りないか?」
カイは周囲を見渡しながら、無数の部下たちが次々と倒れていく光景を目にした。彼の剣技はまさに無敵のようで、一人ひとりを力強く、しかし効率的に無力化していく。
まだ立っている数人の部下たちは、次第に恐怖に飲み込まれ始めていた。その様子を見て、カイは再び冷静に構えを取った。
「次は、誰だ?」
カイの低く響く声に、残った部下たちはついに恐怖の表情を浮かべ、動けなくなっていた。
カイはそんな中、心の中で考えを巡らせながら、冷静に状況を見極める。
おそらく……リーラたちはこの屋敷のどこかにいるはずだ。俺がここで引きつけている間に、彼女たちは動いているかもしれない……
その時、横から閃光が走ったかのように、一筋の鋭いレイピアが突き出されてきた。カイはすかさず反応し、剣でその突きを受け止めた。金属同士がぶつかる音が響き、カイは一歩後退しながらも冷静に相手を見定めた。
そこに立っていたのは、他の部下たちとは明らかに異なる威圧感を放つ二人の男だった。片方はスキンヘッドで、屈強な肉体を持ち、拳に装着した大きなガントレットが目を引いた。もう一人は、鋭い目つきを持ち、手には巧みに扱われたレイピアが握られていた。
スキンヘッドの男が低い声で笑いながら言った。「こいつ、さっきの奴らの仲間か?」
カイはその言葉に少し反応し、剣を構えたまま口を開いた。「さっきの奴ら?……リーラたちか?」
レイピアを持つ男がニヤリと笑いながら答えた。「やはりそうか。お前も侵入者か……だが、ここで終わりだ。お前みたいな奴には容赦しない」
スキンヘッドの男が拳を鳴らしながら一歩前に進み出る。「面白そうだな。さっきの侵入者もなかなか手応えがあったが、こいつも楽しめそうだ」
カイは二人を見据えながら、再び剣を構え直した。彼の目は鋭く、すでに戦闘の準備が整っていた。相手の威圧感に臆することなく、冷静に二人の動きを見極めていた。
「どちらが先に来る?」カイは低く問いかけたが、すでに戦いが始まることは分かっていた。
二人の男は同時に動き出し、カイはその一瞬の隙を逃さず、剣を構えて迎え撃つ準備を整えた。
スキンヘッドの男が勢いよく前進し、巨体から繰り出される重い拳をカイに向かって振り下ろした。その拳はまるで岩の塊のようで、圧倒的な破壊力を感じさせた。カイは素早く横に回避し、拳が地面に激突する瞬間、衝撃が床に伝わり、土埃が舞い上がった。
「速いな……」スキンヘッドの男は冷笑しながらすぐに次の攻撃を繰り出す。今度は巨大な戦斧が彼の手に握られていた。それが遺物だと気づいたカイは、一瞬の油断もできない。
一方、レイピアを持った男もすばやく距離を詰め、鋭い突きをカイに向かって連続で繰り出してきた。レイピアの動きはまるで鞭のようにしなやかで、非常に速い。カイはそれをギリギリのところで受け流しながら、一瞬の隙を見つけ反撃に転じた。
「甘い!」レイピアの男はすぐに回避し、距離を取る。そして、次の瞬間、彼の左手に握られていた何かが光りだし、レイピアが一層鋭く輝き始めた。「これでお前を仕留める!」
「遺物か……」カイは目を細め、警戒を強めた。
レイピアを持つ男の剣先は、一瞬でカイの周囲に何本もの残像を残しながら襲い掛かる。その速度は尋常ではなく、まるで影が動くように複数方向から同時に攻撃を仕掛けてくるかのようだった。カイはその高速の突きに対応し、防御の構えを取るが、いくつかの突きが鋭く彼の防御を貫いていく。
「……くっ!」カイの肩や腕に小さな傷が刻まれるが、致命傷には至らない。しかし、その鋭さと速さは明らかに通常の剣技を超越している。
「どうした?もう限界か?」レイピアの男は勝ち誇ったように笑みを浮かべたが、カイはその瞬間、相手の動きを見切り、一気に反撃を開始した。
カイは剣を振りかざし、一瞬の隙を見つけてレイピアの男の攻撃を受け流すと、逆に鋭い横薙ぎを繰り出した。男は驚きつつも遺物の力を活かして回避しようとしたが、カイの一撃は彼のレイピアの柄を叩き、勢いで吹き飛ばした。
「な……!」レイピアの男は驚き、後退した。
その瞬間、スキンヘッドの男が巨斧を振り上げ、カイに向かって振り下ろす。カイはそれを避ける間もなく、斧が自分の剣に直撃する形で防御の姿勢を取った。しかし、斧の重さと力は凄まじく、カイはその衝撃に押されて一瞬後退する。
「さすがに効くな……」カイはその巨斧に苦戦しながらも冷静さを失わない。彼の腕はしびれ、斧の一撃の余波を体全体で受け止める形になったが、なんとか踏みとどまっている。
「この斧は、力を倍増させる遺物だ。お前の力ではこの一撃に耐えきれないだろう!」スキンヘッドの男は笑いながら、再び斧を振り上げた。
カイは素早く相手の攻撃を見極め、今度は回避に専念した。巨大な斧が何度も地面を叩きつけるたびに、衝撃が辺りに響き渡る。しかし、カイはその圧倒的な攻撃を巧みに避け、反撃のチャンスを窺った。
遺物の力に頼りすぎだ……
カイは心の中でそう呟き、素早くスキンヘッドの男の懐に飛び込んだ。巨斧は振り下ろされるまでに時間がかかる。カイはその一瞬の隙を突いて、斧の速度が上がる前に頭上で剣で止め、男の腹部に強烈な蹴りを見舞った。
「ぐあっ……!」スキンヘッドの男は苦痛に顔を歪めたが、そのまま耐え、逆に反撃しようとした。しかし、カイはその動きを完全に読み取り、今度は巨斧の柄を自分の剣で弾き飛ばした。巨斧は勢いで男の手から離れ、地面に転がった。
「……やるじゃねえか……だが」スキンヘッドの男は驚いた表情を見せながらも、また別の遺物を取り出し、腕に装着した。
レイピアの男も、少し驚いた様子でカイを見つめていた。「……ただの剣士じゃないな……お前……」
その瞬間、静かな拍手が響いた。音は静かに広がり、場の空気を一変させた。カイは一瞬でその音の主を探し、振り返ると、そこにはブルーノ・ドランゴが立っていた。彼は先ほどと違い、右腕を丸ごと覆う鎧のようなものを身に着けていた。彼はゆっくりと笑みを浮かべながら拍手を続けていた。
「素晴らしい、実に素晴らしい」とブルーノは低い声で称賛しながら歩み寄ってきた。「まさかここまでやるとはな……。いや、驚いたよ。お前、本当に強いな。あの二人とここまでやり合えるとは……なかなかできることじゃない。」
カイはブルーノを冷静に見つめ、剣を構えたまま一言も発しなかった。だが、ブルーノはその態度を気にせず、愉快そうに続けた。
「どうだ?うちに入らないか?お前ほどの腕があれば、うちでもすぐに上に立てるだろう。遺物だって好きなだけ手に入れられる。そして、その力でさらに強くなるんだ。金も女も、全てが自由にできる。悪い話じゃないだろう?」
ブルーノはカイを試すかのようにじっと見つめ、誘いをかける。彼の表情には自信が満ち溢れていた。自分の申し出が、カイを魅了するに違いないという確信がそこにあった。
だが、カイは目を細め、冷たい声で答えた。「悪いが、そんなものに興味はない。」
その言葉を聞いた瞬間、ブルーノの笑顔が一瞬硬くなったが、すぐに笑いを取り戻した。「ほう、興味がない?強くなれる機会を、金を、自由を手に入れられるチャンスを捨てるというのか?」
カイは一歩前に進み、剣を強く握りしめた。「俺の強さは復讐のためだけにある。金や女、そんなものに魂を売る気はない。俺が目指すのは、ただ一つ……それだけだ。」
カイの声には冷徹さと決意が滲み出ていた。彼の瞳には、ブルーノの言葉に揺らぐような迷いは一切感じられなかった。カイにとって、復讐こそが全てだった。
ブルーノはカイの答えにしばらく黙っていたが、やがて声を出して笑い始めた。「ハッハッハ!面白い。実に面白い男だな、お前は。だが、復讐か……それは厄介だな。俺の好みじゃない。………そうか、うちに入らないのなら、今すぐお前を殺せとおれの勘がそう言ってるんだ。」
ブルーノがそう言うと、右手を覆っていた鎧のようなものが音を立てて淡い光を帯びる。
やはりあれも遺物か…
カイはブルーノの言葉に反応せず、再び剣を構え直した。その静かな動きが、次の戦いの火蓋を切ろうとしているのを告げていた。
その循環、カイの正面に突然、まばゆい光が走り、雷鳴が轟いた。凄まじい轟音が周囲に響き渡り、カイを囲んでいた部下たちが驚きに満ちた表情を浮かべる。
「雷……?ここは屋内だぞ……?」レイピアを持った男が、目を見開いて呟いた。確かに、この屋内で雷が落ちるなど信じがたい現象だ。光が収まり目を開けると、雷が落ちた場所には、槍を持ったレイナが立っていた。
カイも驚きを隠せず、一瞬動きを止めた。レイナは槍を構えたまま、周囲を睨みつけている。彼女の周りには微かに青白い雷光が漂っていた。
「すみません。大口を叩いておきながらしくじりました」
レイナはカイの方を見ることなく言った。
「いや………構わん」
「お前……!なぜここにいる!」スキンヘッドの男が叫び、振り返ってレイナを見据えた。
その瞬間、カイを囲んでいた部下たちの後方から突然火が上がり、数人の部下が炎に包まれて倒れた。突然の攻撃に、敵たちは動揺し、後ろを振り返る。
「今度はなんだ!?」レイピアを持った男が叫んだ。
カイも一瞬後方に目をやると、吹き抜けの上の階から魔法を撃っているレオンの姿が見えた。レオンの掌から、火の魔法を発射した余韻が見える。
「レオン……!」
「すまない、失態はこれから取り返すよ」
「ばかな!お前は動けるような傷じゃ!」
レイピアの男が目を見開いて驚く。
「さて、第二ラウンドといくか」
カイはそういうと、ブルーノに剣を構えなおした。




