001:『転生初朝』
対戦よろしくお願いします!!!!!!
朝目覚めると、別人になっていた。
そんな経験あるだろうか
ちなみに私、デイトナ=レイヴィントには10年という人生の記録があるが、一度たりともそのような朝はない
否。今となってはなかったという方が適切か
「あら、おはよう? 気分はいかがかしら」
まだ若干混乱したままの頭を押さえる私の枕元に、ひっそりと佇みながら寝顔を除いていたのだろう金髪爆乳な傾国の美女は、露出を控えつつも性的なインスピレーションを与える服を着こなし、程よい花の香りを漂わせ、私へとそう訪ねる。
「これで《悪いわよ》なんて答えようものなら、軽く死刑は免れないでしょ」
彼女の目を見てはっきりと、肩をすくめ自嘲気味に軽口を叩いた。彼女が何者かを知っているからこそだ
「ふふっ、元が元だものね。 ひとまずは悪い気分じゃないみたいで私も嬉しいわ」
「それで、いろいろ聞きたいことがあるけれど。先んじて一点いい?」
「もちろん、貴方とお話することを楽しみにしていたんだもの。たくさん聞いて頂戴」
「えーっと、じゃあまずは……………なんで私は女なのかしら」
喉奥から放り出した言葉を聞き、彼女は一瞬目を丸くする。
それから少し考えたような素振りを見せ、口を開く
「さあ……?」
「さしもの神様も性別までは考慮しなかったの?」
「私もそうだけど、性別って概念に対して興味が薄いのよね。どっちがどっちとか元がどっちとか。だから抜けてたのかもしれないわね」
「なるほどなぁ」
思わず元の人格に寄った喋り方が消えてしまうほど無責任な解答をもらう。
ま、まあ幸いなことで、私にはデイトナとしての記憶もあるし、まだ年齢も10歳だし、貴族令嬢でもなければ化粧と縁遠い平民の人間だし
元々が男といってもなんとでもなるような気はする
「まあまあ、困ったことにならないために私がサポートとして付いているのよ。万事安心しなさい」
「いやむしろ、いまここにいるのが安心できないのだけれど」
「そうかしら」
「そりゃあ────」
そうだろう。言葉を続けようとした瞬間、自室の扉が勢いよく開放される。
「デイトナー!! おはようー!!」
扉の開閉に続き、勢いよく1人の女性が入り込む
もちろん知らない相手ではない、私の母。ミリファ=レイヴィントだ
そんな母の襲撃は私としてはいつも通りの朝のイベントなわけだが、記憶として持っていても経験としては初めての出来事であるため、少しだけ体がびくりと反応してしまう。
その姿を見て、第三者である彼女は静かに笑う。まったく他人にこういうところを見られると案外恥ずかしい
「もうー、お母さん。毎日言ってるけど心臓に悪いからちゃんとノックしてってば」
「あははー、ごめんねぇデイトナ。でも今日は、あなたの……誕生………日だか、ら?」
しかし一方で、今日に限っては母にしてみても、いつも通りだがいつも通りじゃない部分があるのだ
私に対してそう言い訳しながら、横で我が物顔して立っている存在を見た途端、本能的になのだろう。膝を折るような姿勢へと流れるように変化していく母を見ながら思わず『プッ』と息が漏れる
「あ、あの。どうして守護神様がこのような場所に」
「だから言ったじゃない。このテイランド王国を守る守護神様がこんなところにいる方が安心できないって」
「ちょ、ちょっとデイトナ!? そんな砕けた喋り方」
「いいのよ、おかあ様」
若干ニュアンスに違和感を覚えるが、きっとそういう意味ではなく一般的に他人の親を呼ぶときの名称の意味で使っているのだと流す。
守護神である彼女は自身の薬指にはめられた指をなぞりながら、面白そうに話を続ける。
「彼女は、デイトナは特別なの。それこそ世界で唯一、文字通り神様に愛された。いえこれじゃあ事実と違うわね、神様に許しを乞われた、うーん。これもちょっと誤解があるわよね……」
「はぁ……。なんでもいいから、ざっくりで」
「そう? だったら簡単だわ」
彼女の指輪から赤い糸が徐々に可視化されていく
それはやがて、私の手にまで繋がり。同じように薬指へと結ばれて
「私とデイトナはこういう関係性なの。だから大丈夫なのよお義母様」
「は、ちょ、ちょちょちょちょっと!?!!?」
「デイトナ、あなた、今日は二つのお祝いね!!」
「勘弁して……」
母が様々な感情のひしめき合いによって少々ハイになったところで
なぜこうなったのか。一応思い出しておく
具体的には前世まで時間を戻そう
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