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友達としかみられない  作者: ルン
独白
33/33

たったひとつの冴えたやりかた

 いつだったか、誰かが口にしていた気がする。


『大学時代は人生の冬だ』

 

 面白い冗談だ。

 キングオブコントで優勝は間違いない。それほどに笑えるジョーク。

 これが冬だなんて本気で言う人は、頭がイカれているに決まっている。

 きっと、マッドサイエンティストにロボトミー手術を施されたか、海馬に電極でもぶっ刺されたに違いない。

 そう、これを季節に例えるなら、紛れもなく春。

 それも、花粉症で目や鼻から訳の分からない汁がドバドバと溢れ出し、地獄のような痒みに苛まれて悶え苦しむような、リアリスティックな春ではない。

 桜舞い散るキャンパスの門の前で、旧友との別れに涙し、新しい出会いに歓喜する。

 そんな薔薇色の春だ。

 4月。旧学生会館の5階の端。

 このキャンパスの最果てという形容がふさわしい部屋を前にして、私はそんなことを考えていた。

 どうやら少し緊張しているらしい。私はいつもそうだ。重大な局面が迫ると、いつも決断を渋ってしまう。

 カバンからお守り代わりの本を取り出し、装丁を撫でる。

 表紙に書かれているタイトルは、『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』。

 アガサ・クリスティーの名作の1つで、偉大な姉が最も好きだった本だ。

 これを撫でていると、なぜかは知らないが昔から気分が落ち着いた。

 大好きだった姉が、臆病な私に勇気をくれるからかもしれない。

 そんな姉のためにも……いや、私自身のために、私には人生の春を謳歌する前に、1つどうしても為さなければならないことがある。

 数度深呼吸を繰り返した後、コンコンと目の前の扉をノックする。


「はい……鍵は開いているので、入ってきてください」


 中からいかにも気だるげな声音で、男の人の低い声がする。

 『()』が話に聞いていた人物と全く異なること、そして、ここに入り浸っていることは、調べが付いていた。

 後は、計画を実行するだけ。まずは色々と確かめなければならないことがある。

 覚悟が固まり、気持ちが落ち着いてから、思いっきり力を込めて扉を開ける。

 私が考えた、姉と彼を両方とも救う、『()()()()()()()()()()()()()()』。

 ――それが、ここから始まる。



<<完>>

ここまで読んで下さった皆様、誠にありがとうございます!

本作はこれにて完結になります。


実は、私は同人サークルにてノベルゲームのシナリオを一度だけ作ったことはあるものの、長編の小説を完結まで書き上げたのは今作が初めてです。

なので、小説を書くのに最も簡単だと思われる、自身の体験をもとに書く手法をとりました。

それ故に、主人公の心理描写は結構リアリティがあったのでは、と思っております。

現役理系大学生のリアルな闇が詰まっております……

つまり、振られたのとか実話なんですよね!! やったね!! !

本作との違いは、私には貴理がいなかったことと、本当に友達枠を出られなかったことですね……無念……

私の世界線では、「友達としかみられない」と宣った幼馴染は苦笑いしていました。

断じて泣いてませんし、亡くなってもおりません。もう縁は切れましたが。

あいつ、どうしてるかな……

今これを読んで下さっている心優しい読者の皆様は、なんて可哀想な奴なんだと思っていらっしゃることでしょう。

そんな哀れな私を慰める方法が、1つあります!!

そう、今私は、初の完結作に感想とかレビューとかポイントとか、物凄い欲しいです‼︎‼︎

めちゃくちゃ欲しいです‼︎‼︎‼︎ ww

心優しい皆様、御慈悲を下さっても良いのですよ?? ww

……と、見苦しい真似はここまでにします。

勿論、読んで下さっただけでも十分嬉しいです!!

ここまでお付き合い下さって、感謝の言葉もありません。


因みに、これは余談ですが、この小説の章題は4章と独白を除き、ミステリー小説のタイトルをもじって作られています。

また、作中に登場するクリスティーの作品4作からは、それぞれ特徴的な部分をトリックやストーリーの参考にさせて頂いていました。

つまり、分かる人には分かる、一種のヒントだったということです。

(実はどれも概要を知っているだけで、実際に読んだことはないのですが)

「ABC殺人事件」は言わずもがなでしょうが、他の作品についてはお気づきになられたでしょうか?

そのことを念頭においてもう一度読み直して頂くと、多少違った印象を受けられるかもしれません。

(ネタバラシをしないと気が済まないサガ)


今作はこれで完結ですが、また長編の小説を執筆するかもしれません。

ネタが浮かべば、ミステリーになると思います。

なので、これからも是非、よろしくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の展開に衝撃を受けた。 何となく貴理だとは思っていたけど、動機がずっと分からなかった。最後まで読んでなるほどなぁ。と納得できた。 話の持って行き方が凄く上手で、スラスラ読めた。 推理小…
2020/08/24 19:15 退会済み
管理
[良い点] 序盤でこの週の月曜の日付が6/22であることが示されていたり、貴理がマイルリバー編集会に所属していたりと、いたるところにヒントが散りばめられていたのに、なかなか気づくことができませんでした…
感想一覧
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