#3 【タクヤ】屋形に導かれた男
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タクヤは大きな鍵を使い、洋式の屋形に入った。
今日はタクヤの誕生日だった。
タクヤが朝起きると、高校の同級生の女が同じベッドで寝ていた。
前日の記憶が正しければ、誕生日パーティーということで、その女とタクヤを含めて4人で飲んでいた。
その帰りに、酔ったからなのか女が足を挫いて怪我をしてしまった。
女が、タクヤに連れて帰るように頼んだため、家までタクシーを使い、連れてきたのだ。
タクヤはとても優しい男だった。
だから、見捨てることはできないし、頼まれたらノーとは言えなかった。
しかし、さすがに女が家でセックスをしようとしたときは、ノーと言った。
タクヤには心に決めた女性がいた。
だから、他の女とそういう関係になるのは気が引けた。
しかし、タクヤも男だし、そういう欲求がないわけではない。
その同級生の綺麗な女が、大きな胸をさらけ出し、せがまれた時は、戸惑った。
興奮を抑えることで必死だった。
無理やり、手を掴まれ、胸に手を当てられた。
そして、揉むように指示され、無理に揉まされた。
酔っていたこともあり、タクヤは思うように揉んだ。
しかし、それ以上はしてはいけないと、自制できた。
彼は頑なに断り、眠りについた。
朝起きて、裸の美しい女性が隣で寝ているだけで、自分のした行動が正しかったのか考えてしまう。
しかし、これでいいのだ。
タクヤには決めた女性がいるのだ。
アリサに会いたい。
タクヤは、服を着替え、髭を剃り、置き手紙を家に残して、家を出た。
タクヤは、アリサと別れた河川敷の橋の下に来た。
アリサに会えるという期待は、なぜかあった。
この日という約束はしていないが。
しかし、そこにアリサはいなかった。
その代わりに、そこには大きな鍵があった。
それを手にすると、洋式の屋形までの道順が頭に浮かんできた。
その道順を辿り、屋形に着いた。
鍵を使い、扉を開けた。
その中は洋式の作りになっていた。10畳くらいの部屋で、少し天井は高かった。
右側に執事のような人物がいた。
「ようこそ。Aの屋形へ」と執事がお辞儀をしながら言った。
「あ、どうも」とタクヤも礼をした。
「ここは入ったら最後。出口を探さない限り、出られない不思議な屋形です」
「それはどういうことですか」
「元の世界とは違う世界ということです。何が違うかと言うと、例えばこの屋形に入った時点で、肉体は離れています。今のあなたの体はこの屋形の世界の体です」
「え」とタクヤは驚きながら、自分の体を見渡した。
確かに、目線が上がっているような気もするし、筋肉のつき方も良くなっていた。
左側に鏡があったので、自分を確認した。
すると、身長が高くなり、顔もかなり整っていた。
全てが完璧といえるような、男性になっていた。
これが自分だとは思えなかった。
しかし、不思議なことが起こることは想定していた。
アリサと再開するというのは、タクヤにとってそういうことなのだと思っていた。
「そして、体が変わったことで身体能力も幾分高くなったと思われます。そして、この屋形の中は元の世界ではありえないようなことが、たくさんありえます。例えば、この目の前の大きな本がありますね。この本を読むと、この本の中の世界にワープします。ワープというのは具体的に言えば、体が分子に分かれて、さらに原子まで分かれ、この本の中に吸い込まれます。そして、中の世界で元の形に原子たちが集まり、元通りという仕掛けになっております。まあこんな感じです。あとは、魔法が使えたり、火を吐いたりとかです。ほら、不思議でしょう」得意そうに、ニヤッと執事が笑った。
「確かに不思議です。それで、ぼくはこの屋形で何をするといいのでしょうか」
「そうですね。この屋形でしなければならないことをお伝えしましょう。目の前に扉がありますね? その扉を開けるには鍵が必要です。先程の鍵のような、大きい鍵です。それを手に入れるためには、この大きな本の中にワープして鍵を探してこなければなりませなりません。そして鍵を使い、扉を開けていただきます。部屋は合計で5つあります。しかし、すべてあなたが本の中から鍵を手に入れなければいけないわけではありません。向こうの5つ目の部屋から、あなたが会いたいと思っているアリサ様も同じように扉を開けて参ります。そして、途中であなた方は再会することができるでしょう」
「なるほど。しかし、その世界で鍵を見つけるのは簡単ではなさそうです。何も知らないぼくが鍵を見つけられる自信はありません」
「確かに簡単ではないです。でも、それぞれの世界に『言い伝え』があります。その『言い伝え』の通りに動くといいかもしれません。鍵はその世界でやるべき事をやらないと手に入れれません。やるべきことは、その世界の人から『言い伝え』を聞いてください」
「わかりました。ありがとうございます」タクヤは一例した。
そして、決心したような引き締まった顔をして、本の前に立った。
ありがとうございました〜
また見てね〜