#1 プロローグ
初めての連載小説です。
小学5年生にクラス替えがあった。
そこで、2人は初めて同じクラスになった。
タクヤとアリサだ。席は隣で、特に話したりはしていなかった。
ちょうどその時期というのは、異性というものを意識する年頃で、席が隣というだけで、何か意識した、気まずい感じではあった。
しかし、だからと言って、過ごしづらいとか、居心地が悪いとか、ましてや好意を抱いたり、していたわけではなかった。
そしてある日から、自分たちがヒエラルキーの頂点だと思っているクラスメイト(男女8人くらい)たちが、アリサをいじめだしたのだ。
アリサは暗い性格で、いつも1人で本を読んでいるような少女だった。
だからクラスで、いじめの標的にはうってつけだった。
どこの世界でも(特に、まだ人の気持ちを考えられない人間のいる世界)、自分が上にいたいと思うがために、下のものを攻撃したがるものだ。
それを見て、タクヤは怒りが増していた。
しかし、自分の力ではどうしようもないと、考えたタクヤは見て見ぬ振りをしていた。
タクヤは、アリサが助けを求めているようにも、感じたが無視してしまっていた。
そんなタクヤの気持ちも、とても辛かった。
そして、いじめがエスカレートし、ある朝。
アリサの椅子に画鋲がたくさん置かれていた。
いじめっ子たちは、周りでアリサが来るのを待っていた。
そして、その椅子を引き、画鋲を見たアリサは椅子の前で立ちすくんでいた。
その直後にタクヤが教室に入り、その状況を見た。
タクヤはもう我慢できなかった。
「おい!てめーら、これがクラスメイトにすることかよ!」とタクヤが大きな声で怒鳴った。
そして、タクヤはアリサの手を引き、教室を出て、学校も出た。
河川敷の橋の下で、アリサはタクヤの胸で泣いた。
タクヤは、今まで助けられないことを謝った。
アリサが泣き止むまで、タクヤは胸を貸してあげた。
そして、2人は河川敷の椅子に座り、話した。
もう、日は沈みかけていた。
「わたし、引っ越す予定なの」アリサは悲しい声で言った。「クラスに馴染めないし、もう限界だった。先生に相談しても、なんとかするってしか言われなくて、何もしてもらえなかった。だから、もう親も別なところで別な生活をしようって」
「ぼくがいるよ。だから、引っ越すのはやめにできないかな?」
「もう、決まったことなの。でも、今日助けてくれてほんとに嬉しかったの。あそこでタクヤ君が言ってくれてなかったら、わたし何をしてたか、わかんないよ。ほんとに救われた。ありがとう」
タクヤはとても悲しい気持ちだった。短い時間だが、何かアリサといることで、幸せな気持ちにだったり、運命のようなものを感じていた。
「ねえ、約束してくれる?」とアリサは少し明るい声で言った。「また、わたしたちが大きくなったら。んー、二十歳になったら、どこかで会お。絶対ね」
「わかった。約束」
そして、アリサはポケットにあったシャーペンで、小さい紙に、『約束』と書いてタクヤに渡した。
「忘れないようにね。持ってて」
「絶対になくさないし。忘れない」
2人は泣いていた。そして、長い時間抱き合い、日が沈むころに、別れた。
それから、アリサは引っ越し、2人は遠くに引き離された。
見ていただきありがとうございました!
次回もお楽しみ!