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たった7日で失った淡い想いと、積み重なった時間で得たモノ

作者:

なんとなく思いついた話です。

完全にご都合主義作品です。

軽く読み流す程度でお願いいたします。

深く突っ込まないでください。

たった7日


出会ってたった7日であの方は別の女性の手を取った。


私と彼の7年間は何だったんだろうか。


10歳の時に兄の友人だと紹介され友人の妹として過ごし、15歳からは婚約者として……将来の伴侶として互いに歩み寄ってきていたと思っていた。


来年の成人の儀を終えたらすぐに婚姻をという話もあの人から出ていた。


でも、それもすべて泡沫のように消えてしまった。


婚姻の話が出始めた頃から私の両親が私の嫁入り道具をあの人の家に預けていた。


私の嫁入り道具は別の女性が使うからと返してもらえなかった。


世間から冷たい視線を受けながらもあの人とその女性は幸せだと笑顔を浮かべている。


あの人のご両親は逃げるように領地に引きこもっている。


周りがまったく見ていない。




あの人が別の女性との婚姻届けを王宮に提出したという話を聞き、意識を失ってしまった私。

私が目を覚ましたのは話を聞いた3日後だった。


その間、両親や兄弟、友人達に多大な心配を掛けてしまった。

あとで謝らなければと思いつつも、なんていえばいいのかわからない。


きっと世間から私も冷たい視線を送られるのだろう。


格下の令嬢に婚約者を寝取られた哀れな令嬢として見られることだろう。


友人の妹として5年、婚約者として2年、そう短くはない時間を共有していたと思っていた。


あの人の隣りに立っても見劣りしないように、厳しいレッスンも頑張った。


あの人の仕事の手助けができるように、父や兄に師事し領地経営の勉強をした。


あの人のために頑張ってきたのに……すべては水の泡。


私の7年間は何だったんだろうか。



***


「私の可愛いパール」

部屋に引きこもっていた私のもとにお父様が顔を出した。

いつも仕事仕事で家族の団欒など年の数回しかない。

それでも、いつも私たち家族のことを気に掛けてくれているお父様。

「パール、お前はどうしたい?」

「?」

「あれはまだ爵位を継いではいない。ただの伯爵令息に過ぎない」

いつも家族の前では穏やかな笑みを浮かべているお父様だけど今のお父様は仕事中の『氷の宰相閣下』になっている。

「お前が望むのなら陛下はあれに爵位を継がせることはしないといっている」

「……いいえ、私はそのようなことは望みません」

「パール」

「お父様、伯爵家のことは伯爵家が決める事。私たちが口出しすべきことではありませんわ」

首を横に振り、父の言いたい事-伯爵家の没落計画-は望んでいないことを告げる。

「それよりもお父様」

「ん?なんだい?」

ベッドの傍らに座り私の頬を優しく撫でてくれるお父様。

「大叔母様がいらっしゃる王立修道院に行きたいです」

「は!?」

驚き私の頬から手を離したお父様。

「出家の為ではありませんわ。行儀見習いとして行かせてほしいのです」

「今更かい?」

「今だからこそです。私の何が至らなかったのか見つめ直したいのです」

じっとお父様の瞳を見つめると、ふんわりと笑みを浮かべるお父様。

「そうだね、領地にいても心休まらないだろう。私から陛下にお願いしておこう」

「ありがとうございます」


王立修道院

王家が後ろ盾の由緒ある修道院。

王立修道院で礼儀作法を身に付けた令嬢はどの国に嫁いでもやっていけると言われている別名『淑女育成修道院』

代々王族の方が院長を務められている。

王族の方が手ほどきをするので自然と周辺国の状況なども入手できるので臨機応変に対応できるよう教育されていく。

院長から淑女教育修了証が手渡されるのは貴族女性にとっては憧れであり誉れである。

なぜなら、まず淑女教育を受けるための試験が難しい。

王家が認めた家の者しか淑女教育を受けられないからである。

なお、出家したい(俗世から離れたい)人は身分問わずに入門できる。


そして、淑女教育の卒業を認められるのはごく僅かしかいない。

途中で挫折して実家に戻る令嬢も少なくはない。

とても厳しいところである。

もっとも、王立修道院で淑女教育を受けたという実績さえあれば卒業していなくても国内であればそれなりの泊はつくので、毎年かなりの人たちが淑女教育を受けるための試験に挑むのである。


私は幼い頃……あの人と出会うずっと前に大叔母の勧めで淑女教育を受けた。

何事も吸収することが早い幼子だったからか、最短期間で卒業資格を取得出来た。

その後、引っ切り無しに婚約の申し込みが届いたのだが父が全て断っていたとこっそりと兄から教えられたのはあの人と婚約を結んだ時だった。



翌日、父は陛下から王立修道院への切符をもぎってきたのだった。

なにやら反対意見が出たようだが、あの人の行動に誰もが眉をひそめていた為に最終的には許可が下りたのだった。

もっとも、最後の最後で王宮と修道院を繋ぐ通信を通じて大叔母様……院長様が『すぐに傷心中のパール嬢を寄越しなさい!』と仰ってくださったおかげですけど。



王立修道院には1週間後に旅立つことが決まりました。

本来なら身一つで行かなければならないのですが、院長様からあれこれ持ってくるように王家を通じで言われたため、準備に時間が掛かってしまったのです。


院長様からの指示で準備したモノは家具類だったのですがすでに備え付けの家具があると記憶しているのですが……

院長様曰く『家具類が傷み始めて使い物にならない物が出始めたのよ。ちょうどいいから持ってきなさい』ということらしい。


それを1週間で揃えたお父様の手腕は素晴らしいと言ったらデレデレに照れていました。

お母様から元婚約者に奪われた家具類の予備であるとこっそり教えてもらいましたけどね。


***


さて、王立修道院で生活するようになって半年が過ぎました。

表向きの理由である淑女教育はあっさり終了しました。

一度卒業の資格を得ているのでおさらいという感じでした。

私に落ち度は全くないという事を院長様が国王陛下に報告しておりました。


私はある意味修道院に隔離されていたので知らなかったのですが、あの人は爵位継承を認められず平民に身分を落としたそうです。

そして、婚姻を結んだ女性とは早々に離縁したとか。

いえ、女性が伯爵位を継げないのなら意味はないと家を出ていったそうです。

その時に、私用に誂えた宝石類を持ち出し売りに出そうとして窃盗犯で今は牢に繋がれているとか。


あの人も女性も知らなかったようです。

王家の血を引く女性は嫁ぐときに自分オリジナルの紋を装飾品、衣類、食器、家具などすべてに施すことを。

私か、私の両親が許可しない限りそれらのモノを売りさばくことは禁止されていることを。


しかし、父が王弟であることは誰もが知る事実。

すなわち我が公爵家は王家に連なる家だとわかりそうなものなのに……


兄は私にあの人を薦めたことを『人選を間違えた』と頭を抱えているそうです。


ある日、院長がティータイムの時に面白そうに「貴方の元婚約者は声高々に求愛をするセミで唆した女性は己の光で異性に求愛する蛍ってところかしら。どちらも短い命だから余計に盛り上がったのでしょうね。一時の恋で納めておけばまだ幸せだったのでしょうが……」と仰っておりましたが、よくわかりません。


私が修道院に入って1年後。

王太子殿下の成婚や、王女殿下の婚約で私の醜聞が下火になったのを機に実家に戻ることになりました。


私が修道院を出る時、院長や修道院のお姉様方は満面の笑みを浮かべて仰いました。

「何年もかけて己を磨いた貴女には元婚約者はもったいなかったのよ。これもすべて神様のお導きかもしれないわね。今度こそ、幸せになれるわよ」


その予言は見事に当たりました。


数か月後、私は幼馴染でもある王女様のたっての願いで彼女の嫁ぎ先の国に同行いたしました。

彼女が国に慣れるまで女官として働いていたのです。(淑女教育の中に女官・侍女・メイドの授業もあったのです)

そこで生涯の伴侶と出会う事が出来ました。

王女様の嫁ぎ先の国の侯爵家の方で公爵令嬢である私が嫁いでも問題はないとのこと。

国王陛下や王妃様、院長様、お母様はもろ手を挙げて喜んでくれました。


父や兄の反対に遭いながらも何度も認めてもらうように努力してくださった方です。

最終的には『そちらの家に婿養子として入っても構いません』という言葉に父も兄も折れたそうです。

といっても私は王女様付の女官が楽しくて実家に戻る気はありませんけどね。


一年に一度、実家に帰ることを条件に彼のもとに嫁ぎました。

その後は順風満帆というわけではありませんでしたが、不幸ではありませんでした。

子宝にも恵まれ、彼のご両親にも可愛がられているのですから。


もし、あの時、元婚約者が別の女性との婚姻届けを提出していなければ得られなかった『幸運』です。


そうそう、修道院に持っていった家具類がそっくりそのまま嫁ぎ先に届けられた時はびっくりしました。

お父様と相談して寄付という形で残してきたはずだったのですが、院長様が最初から私の嫁入り道具として修道院で預かってくれていたそうです。


私の旦那様のおじい様は院長様と大変仲が良くよく文通をしていたそうなのです。

私はおばあ様……若くしてこの世を去った院長様の妹君にそっくりで、妹君を溺愛していた院長様は容姿から性格までそっくりな私を妹君の代わりに立派に育てるわ~と意気揚々と陛下と父に告げていたそうです。

道理で私だけやたら特別授業があったわけですね。


旦那様はおじい様から聞いた話だけで私に想いを寄せていたとか……

何度も婚約の申し込みをしてはバッサリと父から断りの手紙が届いていたと笑いながら話しておりました。

あと院長様がこっそりと私の姿絵を毎年贈っていたらしいのです。

ええ、婚約していた時期もこっそりと……

一年に一度家族全員で描いてもらったことはありますが個人ではないんですけどね~



旦那様は私の元婚約者の所業を知るとすぐに院長様に連絡を取り……あとは皆様もご存じ通りです。


どうやら私は旦那様の掌の上で転がされていたようですが……今が幸せなら別に構いませんわよね?


幼い頃の淡い想いは泡沫のように消えてしまいましたが、じっくりと練られた愛情に囚われる方が私には合っていたみたいです。



ジャンル選びに悩みに悩んで『その他』にしました。

うん、だって主人公ちゃん恋愛してないもん。

完全に周りに流されているから……


いつか旦那様視点の方が書ければいいのだけど……

[壁]_・)チラッ


旦那様:ブン( ̄ω ̄= ̄ω ̄)ブン


[壁]д=) ジー


旦那様:ブンブン(>_< )( >_<)ブンブン ゼッタイニ嫌!


と一向に話そうとしないんですよね~(ノ´∀`*)


まあ、知能指数が低い私が旦那様の腹黒話を文章に起こせるわけないですけどね(`・ω・´)キリ




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