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面倒事はいつでもやって来る   作者: TO~KU
第二章 召喚した国―――リオン国―――
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03 榊君と話し合い

イイ天気ですね(*´∀`)


鐘が鳴ると、奥のリビングに居た高校生三人が話し合いを止めて私達のいるリビングにやって来る。

これから昼食のはずだからと、皆で八人掛けのダイニングテーブルに座って待っていると、しばらくして午前中来たメイドさんが昼食の乗った台を押しながらやって来た。

そして、目の前に、サラダ・スープ・メイン(肉)・パンがテキパキと並べられる。


「サラダは、ベーコンとサンチェ、ラディのサラダ。スープはコンのスープ。メインはフレグエリのステーキ、でございます。パンはお好きなだけこちらの籠からお取りください。一時間ほどしましたら食器を取りに参ります。どうぞごゆっくりお召し上がりください」


セティングが終わるとメイドさんはさっさと部屋を出て行った。


「うまそっ!」

「おいしそう!」

「食べようぜ!」


食べ盛りの高校生三人は我先にと料理を食べだした。

この三人には、疑いを持つという危機管理が無いんだな。

私はじっと出された料理を見つめ【解析】スキルを発動。

変なもん食わされたら嫌だから。


視た所、身体に害なものも薬も使われていなかったので、フォークに手を伸ばしゆっくりと食事を始める。

それを見て、榊君もフォークを掴んだ。

ん? 榊君、結構私の事見てる? なんかしたっけ?

……ああ、勇者召喚の裏事情、一切説明してないわ。そりゃ、気になるわな。

だけど、この国の人に聞かれるのはマズいと思うんだよね。

それに、高校生三人にも話した方がいいのかどうか……。


作ってくれた人には申し訳ないけど、食べながら考えてしまった。

味は……たぶん美味しかった。


食事が終わると、徳田君から相談したいと声をかけられる。

三人掛けのソファーに移動して、榊君と話を聞くと、

 ・地球に帰れるなら帰りたい

 ・帰るまでは勇者をしてもいい

 ・衣食住はそれなりがいい

 ・給料は想像がつかない

と、今のところ考えているという事だった。

うん、この子達、現状把握も推測も甘い。ものっすげぇ甘いっ!


「ねえ、そもそも、本当に魔族領に帰還用の魔法陣? があるのかな?」

「「「あっ!!」」」

「それに、いつ帰ろうと思ってる? すぐ? 一年後? すぐなら、【勇者】として国に貢献しても無いのに【勇者】扱いしてくれるかな? 一年後とか、【勇者】をしばらくしてから帰ろうと思うなら、その期間を向こうに言わないとズルズル引き伸ばされる可能性がないかな?」

「「「確かに!」」」


目をキラキラさせながら揃って返事をする三人に、笑いそうになる。


「衣食住に関しては、私達とこの世界では価値観が違うから、色んな物を見せてもらって具体的に指定しないと通じないんじゃない? 例えば、王様並みなのか、重役並みなのか、小金持ち並みなのか、一般庶民並みなのか」

「「「なるほど!」」」

「給料は、普通働いた分だけ貰う物だから、貴方達がどんなことが出来るかによって変わるんじゃない? それに、この国の人達は国を守る方法を言わなかった。なら、自分達の出来る仕事範囲とそれに対する給料を考えたら?」

「「「はい!」」」


なんか、若い子を洗脳してる気分になって、苦笑いが出る。

でもこれは知っておいて欲しい。


「あー、明日、この国の人達も意見を言ってくるから、交渉出来る様に最低ラインを作っておいた方がいいよ。たぶん【勇者】でない私達は口を挟めないから」

「「「え?」」」

「だって立場が違う。向こうが国を守ってほしいと言っているのは【勇者】によ。【巻き込まれた異世界人】には言ってない。だから、拉致・誘拐に関することは私が交渉してもいいけど、【勇者】じゃない私は、【勇者】に関する交渉のテーブルには着けないと思う」

「「「―――っ!!!」」」


一気に顔が青ざめる三人。

三人には悪いけど、『相談には乗るが自分達で考えろ』=『私は責任を負わない』だからね。

だって、こんな甘い考えの子達に頼られても面倒としか思えない。

頼るって、一歩間違えば依存とか、人に責任を負わせるっていう事を理解してないし。


「勇者をしてもいい」って言ってる時点で、勇者に心惹かれてるよね、これ。

ホント甘い甘い。軽い気持ちで了承したら、骨の髄までしゃぶられちゃうよ。

国の中枢を支えている人達相手に勝てる訳ないじゃん。

仲裁とか助けを求められたりしたくないので、ぜひとも自己責任でお願いしたい。

私は今すぐにでも、この城から出たいし。


それに、今回初めて【魂を含む生身】で召喚なんだから、帰還の魔法陣なんて存在しないはず。

この事を教えてもいいんだけど、今は……ないな。

まだ自分達の立場も分かってないし。

なら、後味が悪くならない程度の時……城を出る時にでも言いましょうかね。


「……でもね、時間を稼ぐ事は出来るよ」

「「「ホントですか!」」」

「うん。交渉するのは貴方達だけど、交渉する日を明日じゃなくて一か月後には出来ると思う。拉致・誘拐の責任を取ってもらってからでないと信用できませんとか言えば、向こうも納得するんじゃない? その間【勇者】待遇じゃなくて【巻き込まれた異世界人】待遇なら、報酬が発生してないんだから【勇者】の仕事はしなくてもいいはず。それに教育期間中に、ここの人達がどんな対応をするのか、この国がどんな国なのか、知ってから考えた方が貴方達も判断材料が沢山出来ていいんじゃない?」

「「「はい!!」」」

「……くくっ……」


何故か榊君が肩を震わせて笑っているので、三人は不思議そうに榊君を見る。

うん、まあ、気持ちは解る。

洗脳しているつもりは無いのに、傍から見れば三人は洗脳状態だろう。そりゃあ面白いでしょうよ。

据わった眼で榊君を見ると、「悪い」と私につぶやき、真剣な顔を高校生三人に向けて言った。


「お前らも不安だろうが、俺等も不安なんだ。人に頼りたくなるのは解るが、自分の事は自分で何とかするのが当たり前だ。アドバイスを貰っても、ちゃんと自分達で考えろ。人のせいにはするなよ」

「「「はい!」」」


そう言って榊君は私にチラリと視線を寄越した。

三人はやる気に満ちた表情で奥のリビングに移動し、午前中と同じ席で話し合いを始めた。


「ありがと」

「……いや」


さっきの榊君の忠告は本当に有り難かった。

やっぱり、社会に揉まれてると考え方がしっかりしてるわ。

あの子達が自分でしっかり考える事を祈ろう。

ちょっとぼーっと気を抜いてソファーに座っていると、メイドさんが食器を片付けに来た。


「新しいお茶もお持ちしましたので、よろしければお召し上がりください」


と午前中飲んでいたお茶も取り代えてくれた。

話し合いの終わった私達は暇だ。

夕食まですることが無い。

なので、暇つぶしがてらメイドさんに話しかけてみた。


「あの、お話しする時間ありますか?」

「はい。大丈夫です」

「昼食のメイン料理のフレグエリってどんな動物ですか?」

「フレグエリは――――――――――」


フレグエリってかなりの高級肉だったらしい。

動物ではなくて魔物で、大型の恐竜みたいな姿。倒すのも高ランクパーティーでないと難しい、と。

うわー……味わって食べればよかった!!

他の料理も馴染みがある形状や名前だったので、勇者と関係があるのか訊いてみると、


「他国から仕入れられている物もありますのではっきりとは申し上げられませんが、皆様がそう思われるならそうかもしれません」


なら、ばっちり関係ありそうだ。

ベーコンなんて地球人謹製じゃない?

サラダのラディはラディッシュの黄色バージョンでサニーレタスらしき野菜もあったし、コンのスープはコーンスープだったし。

なるほどね~と納得していると、メイドさんがニコリと笑って、


「新しいお茶のご要望など何かありましたら、扉の外に待機している者にお声かけ下さい。すぐに持ってまいります。四の鐘の際には再度お茶とお菓子をお持ちいたします。では、失礼いたします」


と言って食器を持って出て行った。

開いた扉の外にはメイドさんが言っていた通り、皮鎧の騎士が居るのがチラリと見えた。

ふむ。監視か? 逃走防止か? それとも出歩かないように監禁か?

とにかく、勝手に部屋の外に出られない事は分かった。

まあ、逃げる時にどうにかすればいいし。

それよりも、食材が地球に似ている事に心の中で狂喜乱舞♪

飯マズじゃなくて良かった!

匂いのキツイ、パクチーとかセロリとかシナモンとか桂皮(けいひ)とかニッキとか……。

ん? シナモンと桂皮(けいひ)とニッキは同じ括りだったっけ?

まあいいや。匂いのキツイ香辛料とか食材、苦手なんだよね。

だから、食べられる食材があって良かった。

料理出来るから、自分で何とかすればこの世界【ファイ】で飢える事はないだろう。

ま、お詫びでたんまり食材貰ってるから心配ないんだけど、旅行の醍醐味はやっぱり現地の食事でしょう。

口に合わなかったらものすごい凹むけど、大丈夫そうでマジ良かった……。

そうんな事を考えながら、新しいお茶を飲んでいると、


「……なあ。あの食事、勇者関係だよな?」

「……そうだと思うよ」


隣から榊君が声をかけてきた。


「古来から勇者召喚してんだよな。この国」

「……そう言ってたね」

「……なんで今回五人なんだろうな」

「……」


たぶん榊君は召喚の裏事情を早く知りたいんだろう。

丁度、今暇だし。

なら、あの子達に忠告してくれたお礼も兼ねて話しますか。


「……暇だよね……。向かいのソファーで寝ようかな……」

「おい……」


突っ込まれたが気にせず向かいのソファーに移動し、背凭れの方を向いてゴロンと横になる。

スカートじゃないので、パンチラは気にならない。

それを見て榊君はため息をついた。

私は榊君と高校生三人の気配を探りながら、寝たふりをする。

そして、私と榊君を包む遮音結界を張る。


「……ねえ。結界張ったから、そのままソファーに深く沈んで、顔を下に向けて、寝たふりして。特に口の動きが外から見て分からないように」


カチャンとソーサーに勢いよくコップを置かれた音がした。


「……ぁぁ」


榊君からは小さな返事があった。

すぐにギシギシとソファーが鳴ったので、体勢を変えていると思われる。

そして、「ふぁ~」とあくびが聴こえ、少しすると小声で話しかけられた。


「……いいぞ」

「暇だから、私が知ってる召喚の裏事情を話しておこうと思って。夜まで待てなさそうだしね」

「教えてくれ」


間髪入れずに榊君から返事が来る。

気になって仕方がなかったんだろう。

榊君と神様が逢っている事を何で知っているのか。

制服の三人は何故神様と逢っていないのか。


ボソボソと、玄関出たら召喚された事、創造神に召喚された事、召喚の理由、とかいつまんで話していくと、「へぇー」「そうか」と相づちが返ってくる。

さすがに、『召喚手順改造』には「ナンだよ、それ」と突っ込んでいた。


続けて、創造神との交渉、三柱と報酬相談を話すと、「あんた、すげえな」と呆れた声で言われた。

ただ、報酬内容については、教える気が無いので言葉を濁しておいた。ものすごく訊きたいそうにしていたが。


そして、本来の召喚されし子、ダンジョン踏破の話をした。

すると、ダンジョン踏破の話に食いついてきた。

あれ? 本来の召喚されし子って所には突っ込まないの?

まあ、本来の召喚されし子だから何? って話なんだけど。

【称号】にはそんな事、一つも載ってないし、ホントに裏話だからね。

榊君が気にしてないならいいや。


「なあ。それって俺もご褒美? 貰えんのか?」

「……う~ん……たぶん貰えるんじゃない?」

「……本当か?」

「確実とは言えないけど、同じ【巻き込まれた異世界人】だもん。適用されるんじゃないかと思うけど」

「……はっきりとは分かんねぇか」

「……初めのダンジョン踏破の時に、お願いしておこうか?」

「頼む!」


榊君が喜んでいるようでなにより。

男の子だもん。ダンジョンとか大好物だよね。

この様子なら、地球に帰る気は全く無いよね?

彼、死人のはずだし。


「ねえ、一応確認しとくんだけど、地球に帰る気ないよね?」

「あ? 俺はトラックか何かに轢かれたからな。まず身体がねえ」

「そうよね~」

「……もしかして帰れるのか?」

「いいや。無理。今回初めてこんな事になってるんだから、もちろん送還召喚陣なんて有る訳ないよ」

「……この国の奴ら嘘言ってんのか……」

「それがね、嘘とも言い切れないんだよね」

「あぁ?」

「魔族ってどんな種族か神様に教えてもらった?」

「いや」


私が神様から貰った知識では、魔族は、正式には魔動族なのだが時代の流れで『動』が省かれており、魔石を体内に所有する、魔物と魔人をひっくるめて表す言葉。

魔物は、全ての動物(一部例外アリ)の事を指し、魔人は大昔に人族と種族が枝分かれした、魔力保有量が多く褐色の肌をした人達の事を指す。

元々、人族と魔人の先祖は一緒。魔人は魔力保有量や身体能力が優秀であったため、嫉妬や妬みにより迫害され、人族とは別の進化を辿ってしまった種族。

それを話すと、


「……マジか……ゲームみたいに悪いイメージの魔人の事だと思ってた。まさか先祖が人族と同じって、アジア人とアフリカ人の違い……って事か?」

「やっぱそう思うよね……。魔人って、要は肌の色や魔力量が違う人族なんだよね。もしかしたら、空間魔法とか移転魔法が使える魔人に頼めば出来るかもしれないんだよ」

「……なあ、そもそも魔人って人族に友好的なのか?」

「それは分かんない。神様達が言うには、魔人って穏やかな性格でこの世界の摂理を正しく理解してるって事だけど、人の性格って人それぞれでしょ? 良い奴もいれば悪い奴もいるし。魔人も一緒じゃないかと私は思ってる」

「……まあそうだな」

「ただ、好戦的ではないって聞いたから礼を尽くせば礼を返してくれるんじゃない?」

「なら、一概に嘘を言っていたわけじゃないのか……」


納得した様子の榊君だが、しかし、忘れてはいけない。

人族は魔人を迫害して自分達の種族から排除したのだ。

大昔から受け継がれているだろう負の感情は、きっと現在にも残っている。

そう、人族の方が魔人を毛嫌いしている可能性がある。


確認するために頭の中で情報を検索してみると、国によってまちまちだった。

【人族至上主義】や【魔族排除】の国では敵と見なされているが、【他種族オーケー】【強者歓迎】の国では然程嫌がられてないようだ。

私達が居るリオン国は、権力志向が強い国みたいで、魔人を毛嫌いしているわけではないが好きでもない感じで少し見下しているとの事。

ならば、この国は他国から崇められるためなら魔人に突撃してもおかしくはない、と思うのは意地の悪い考えだろうか。


「あんた、あいつ等には教えてやらないのか?」


榊君の声で思考の渦から意識を引き戻される。


「あー……。迷ってる。榊君みたいに冷静に話を聞いてくれると思えないから」

「あぁー、無理だろ。若ぇし、俺等とは違って神から説明聴いてないから喚くだろうな」

「そうよね~。……それに考えも甘いし。……ただ、話すんなら一か月後かな。出て行く前に、大人の置き土産としてプレゼントしようかと」

「……そうか。……もしかして、あいつ等に時間を稼ぐ手段を教えたのは……」

「もしかしてよ」

「あんた、あいつ等に意思決定猶予時間を与えたわけか。ホントにすげえな」

「……勝手に召喚されたのは同じだけど、立場も状況も目的も違うし、何より身内でも何でもないんだから、あの子達の面倒を見る気はサラサラ無い。けど、後味が悪くならないように情報は教える気ではいるわよ。今のところは。ただ、面倒事はホント他所でやってほしいから、その情報を基にどんな行動を起こすかは勝手にやってほしいと思ってる」


教祖様を見るかのようにキラキラした瞳で見てくる高校生三人の顔を思い出して、若干うんざりしていると、


「……自己責任か……」


と榊君がポツリと言った。

ぜひともそうしてもらいたい!!

自分に関係がある事なら『ガンガン行こうぜ!』とやる気になるが、その他の事は関わりたくないのが本音だ。

関係なくても、見返りというかギブ&テイクが成立すれば少しはやる気が出るし、優しさには優しさを返すくらいの事は私だってするさ。


「あ……。言い忘れてた……」


最後の最後に人族の神様から聞いた罰の話を、そういえばしていなかった。

人族の国にある召喚魔法陣が消される事、榊君がそれ以外の召喚魔法陣を破壊する事を話すと、「あぁ、それでか……」と納得していた。

榊君は人族の神様から、巻き込まれた事、悪さをされないように召喚陣を破壊する事、その召喚陣は神様から指定する事、くらいしか話を聞いてなかったらしい。


「……なあ、いつ罰は決行されるんだ?」

「っ! 訊くの忘れてた……」

「はぁ?!」


榊君の低い声に身体がビクッとする。

すまん。マジで忘れてた。

そう思っていると、胸の谷間がカッと熱くなった。


「ん?!」

「あ?!」

『人族に罰を与えるのは、三日後の夜。二日後に神託を下します』


頭の中に言葉が直接響いてきた。

この声色は人族の神様だな。

なんで神様の声が聴こえたのかは、【称号】の【ネウリピュアの恩寵】に理由があった。

確かに、神様達と質疑応答出来るようにメールみたいなスキルが欲しいとお願いしたよ。

だけど、一日一回も出来るって回数多くない?!

精霊族の神様【ゾントス】や魔動族の神様【ルラノス】からの【恩寵】もあるんだよ?

一日に三回も神様と交信出来るってことぉ?!

他にも『ネウリピュアの神託』『ステータス上昇値、スキル成長値、スキル取得率、二倍』『固有スキル【スキル譲渡】』の全部で四つの効果があるし。

こりゃ、他の神様のも確認しといた方がいいかも。


「……なあ、今聴こえたか?」


心の中で神様達のお礼大放出にアップアップしてると、榊君に尋ねられた。

榊君にも聞こえていたらしい。

【称号】に神様関連の物が無いか訊いたら、【ネウリピュアの守護】があると言うので、確認してもらうと、こちらは『ネウリピュアの神託』『一週間に一回の質疑応答』と『ステータス上昇値、スキル成長値、二倍』の効果との事。

狡いけど【解析】スキルで視たら合ってました。


まあ、【恩寵】と【守護】じゃ効果が違うみたいなので、私の方の【恩寵】の効果については、固有スキルだけふんわりと濁して言っておきました。

そして、お互いこの【称号】があるから聴こえたみたいだと、納得した。


しかし、高校生三人は何もリアクションなし。

不思議に思って【解析】スキルで覗いてみたら、三人のステータスには【ネウリピュアの加護】があったが、『ネウリピュアの神託』『ステータス上昇値、二倍』の効果だったので、さっきの声は『質疑応答』がある私達しか聴こえなかったようだ。

しかも、熱くなった胸をチラリと覗くと痣があった。

……四つも……。きもっ。隠蔽隠蔽。


「……ねえ、二日後に神託が下りるって事は、人族の他の国にもきっと下りるのよね? 隣の国とか早馬で確かめに来るんじゃない?」

「……来るだろうな。事情を聴きに」

「しかも三日後に本当に召喚陣が消えたら、私達が最後の召喚人でしょ? 【巻き込まれた異世界人】でも貴重だからって他国からも狙われない?」

「……あり得るな」


ネウリピュア様の質疑応答のおかげで、私と榊君は「さっさとこの国を出ようぜ!」と気持ちが一つになった。

もう教育とか旅装備とか護衛はやめて、賠償は全て金銭にしてもらい、明日この国の人と話し合いが終わったら即刻城を出ようと意見が揃った。


そして、時間が無いので召喚の裏事情を高校生三人にも話して、後の事は自分達で決めさせようと話が纏まった。

ならば、考える時間が長くあった方が良いだろうと、高校生三人の居る方へ榊君と移動していると、「カーンカーンカーンカーン」と鐘の音がする。

もう、十五時か。



読んでくださりありがとうございます(* ̄∇ ̄*)


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