表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面倒事はいつでもやって来る   作者: TO~KU
第三章 初めての討伐
25/26

5


さて、アイテムボックスのカテゴリ分けだが、『○○セット』となっているものは1つで収納される。

例えば、『防御インナーセット』。タンクトップ・レギンス・靴下・首巻ぴったりしたネックウォーマー・キャップ(水泳キャップ風)の5枚の衣類なのに、アイテムボックスでは『防御インナーセット 1』でカウントされる。

『冒険者セット』もそう。武器・防具・毛布・ナイフ・火打石・革袋(飲料用)・荷袋の7つなのに『冒険者セット 1』でカウントされる。


どうせなら、『犬種セット』『鼠種セット』とかでまとめられたらいいのに。

まあ、できないものは仕方がない。

たが裏ワザとして、袋に詰めれば大きさは関係なく『袋 1』と認識されるため、重ねて収納されるのだ。


賢哉はどうか知らないが、私は【メニュー】スキルを持っているので、袋に名称を付ければ中身が分かるし大量に物を収納出来る様になる。

しかも、【アイテムボックス】は物の大きさに関係なく数量で管理されているので、私の【アイテムボックス】の収納力は多大だ。

この裏技は、神様に教えて貰った。


それに、時空魔法で容量無限の【異空間(イベン)倉庫(トリ)】なるモノが使えるらしいので、私は荷物の心配をこれからする必要は全くない。

ただ、不必要にスキルをバラす事もしたくないので、【異空間(イベン)倉庫(トリ)】の事は黙っておく。

……すまん、賢哉。

山分けした採取物をいそいそと袋に詰めていく賢哉にちょっぴり申し訳なく思う。


「あ、未和さん、俺が倒したヤツも出しますんで……」

「いいよいいよ。それは賢哉の物にして。討伐と採取じゃ、討伐の方が大変だもの。それに、これからは私も戦うから。今後は倒した物は自分の物ということで」

「……でも……」

「ほら、食事の時にお互い提供する食材に差をつければいいのよ」

「まあそうか」

「そうそう。で、ちょっと話ししようか」


腰を落ち着けて、事前に提案していたお互いの設定、そして【鑑定】から分かった事・疑問に思った事を話し合っていく。


まずは身元の設定。

『異世界人』とバレたくないので、出身地を寂れた山奥に。

【マップ】で調べて、私達を召喚したこの国―――リオン国と北にあるロチェス国、東にあるジバベ国の3カ国にまたがっている森林地帯を見つけた。

国境線がよく分からず、ここなら身分証を持っていなくても「どこに申請すればいいのか分からなかった」「山奥なので街まで出る事がなかった」と言い訳出来るかもしれない。


そして、名前。

今はお互い『賢哉』『未和さん』としているが、リオン国の人達の名前は欧米風だった。

ちょっと日本人風な感じのする名前の人もいたが、私達のは日本人過ぎる。

そこで、『ケン』『ミーワ』に改名。

【ファイの知恵袋】で調べたら、苗字というか家名を持っているのは貴族のみだったので、苗字は名乗らない。


ステータスをもう一度見直して、山奥で暮らしていたらこんな感じか? という風な年相応に。

設定としては『家畜を飼っていた、行き遅れの女』。

この世界では、成人が15才なので35才の私は超行き遅れ。

イイよ別に。日本でもよく言われたさ。


あと容姿。

【ファイの知恵袋】によると、今まで召喚された異世界人に日本人が多かった為、子孫の人達が黒髪や黒目をしているので居ないわけではない。

しかし、血が薄れると黒色は発現しなくなり、この世界の色に戻っていく。

なので、両方揃っているのは『異世界人召喚された本人』のみ。

しかも、『異世界人の子孫はスキルを取得しやすい』とされているので、黒色を持つ人は貴重。


これじゃ、変装でもしないと目立って仕方ない。

……なんとかするかぁ……。


次に、私達の関係。

『夫婦』『恋人』は面倒だったので、『同じ村人』『知り合い』にした。

そして、旅の理由。

色々考えたが、「ダンジョンの街に住んでいる同じ人に会いに行く」という事に。

嘘は言ってない。ダンジョン攻略して、神様に会うんだもの。


「はぁぁぁぁぁ……結構考えとかないとマズかったんだな。関所とかあった時に、お互いに食い違う事を言ってたら通してもらえなかったかもしれねえし。……問題は髪と目だな。どうすんだ」

「ちゃらららっちゃら~♪ 染粉に茶色コンタクト~♪」

「ちょ、なに持ってんだよ?!」

「へへへ~。目立ちたくなかったから、保険に貰っておいたの」

「準備万端だな!」


さてこれで、黒髪・黒目も解決。

私は元々コンタクトを使っていた―――今は視力が回復して眼鏡いらずだが―――ので、装着もお手の物。

髪は、何種類かの染粉を貰っていたので、偽装したステータスに合わせた色に。


恐る恐るコンタクトを付けるケンにちょっと笑いそうになる。

そして、水色の染粉に手を伸ばそうとしたので一言。


「この世界の人って、属性に関係した色が目や髪に現れるみたいよ」


ケンはピタリと手を止めて、私の顔を窺いながら赤色の染粉に手を伸ばし直した。

うん。正解。


ブラックドッグを狩ってから疑問に思っていた『魔物化』と『魔物化していない』差。

『魔物化』は同じドッグでも差があった。つまり、種別で分けられてはいないという事。

ドッグの顔つきからすると、凶暴化したのかな? と考えられるが確証はない。


しかし、魔石を鑑定してみると、ブラックドッグの魔石は『風属性』がついていた。

ノーマルドッグは『無属性』。

少しパターンが違う事もあったが、狩った『魔物化していない』動物は『無属性』の魔石で、『魔物化』の表示があった動物は魔石に『属性』があった。

つまり、魔石の属性は、生存していた時に使えた魔法を表しているのではないかと思う。


それに、【ファイの知恵袋】によると、魔動族や精霊族(一部)は魔石を持っている事が分かった。

この辺の区別はよく分からないので、そういうもんだと思っておく。


そして、属性を表す色があることも判明。

火魔法は『火属性』で赤色。

光魔法は『光属性』で金色。

黒魔法は『黒属性』で白色。……なんで?

水魔法・氷魔法は『水属性』で水色。

風魔法なら『風属性』で青色。

土魔法なら『土属性』で橙色。

雷魔法は『雷属性』で黄色。

重力魔法・時空魔法・結界魔法は『特殊属性』で銀色。

付与魔法・支援魔法は『貸与属性』で緑色。

回復魔法は『回復属性』で何故か桃色。

そして、『無属性』は色が無い。

うん、もうこういうものだと思うしかない。


お互い手に持った染粉を髪の毛に振りかけると、みるみるうちに色が変わる。

赤色の髪のインパクトすごいな。

うん、ケンの隣を歩くと目立ちそうな気がするのは気のせいか?

……まあ、この世界の人は結構カラフルな髪の人も居たし、大丈夫か。

そんな私の髪色は薄い灰紫色でキラキラとしている。

人のこと言えないな。


「ミーワさん、スゲェ印象が変わった」

「ケンもよ」

「違いねぇ。なあ、染粉に黄色とかあったんだが、そんな髪の奴がいるのか?」

「いるんじゃない? この世界に居る人の髪色を注文したんだもの」

「それって……どんな感じなんだろうな? っくっ」

「っ……ヒヨコ頭って事よね? ぷはっ」


ケンと顔を見合わせ、笑いが出る。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ