第4章レッスン その3はじまりの日
「それと、武田先生、自己紹介が、まだでしたね。赤間川 俊と申します。34歳です。サックスを始めて触ります。この歳で恥ずかしいのですが。一生懸命やりますので、どうか、お手柔らかに宜しくお願いいたします。」
俊は、武田先生の目を真っ直ぐ見詰めて緊張の面持ちだった。
「こちらこそ、楽しくレッスンしましょう。それが私のモットーです。」
武田先生は、俊の目をまっすぐ見つめて最後にニコリと笑った。
「さて、時間がなくなってしまいますねで第1回目のレッスンを始めます。時間は、30分です。それでは、教材を差し上げます。しっかり自分のものにしてください。この教材が習得出来たと私が判断するまで、この教材しか使いません。この音楽教室から買った教材は、つかいません。だから、毎回つまらないレッスンになるかもしれません。この本が基本になりますので、しっかりマスターしてください。
」
武田先生は、俊の目を見て首を縦にふった。
手渡されたのは、スケール表だった。シャープ1~シャープ7までとプラット1~プラット7までのものだった。後基本の音階進行をすべてたとえばペンタトニックに至るまで。先生の手作りだった。
「後、サックスは、教室の中で組み立てるのではなく。待合室で組み立てて待ってください。時間がもったいないので。ヨロシクね。」
武田先生が俊サックスを出すのを見て声をかけた。
「あっ!すいません。勝手がわからなくて。」
俊がちょっと焦った感じで答えた。
「もう、緊張感は、ありませんね。それでは、始めましょう。お持ちのサックスは、ヤマト製ですね。スタンダードモデルのアルトサックスですね。このモデルは、初心者には最適です。音は出やすいし綺麗な音が出ますよ。中学生や高校生に人気のモデルです。早いのですが上達して物足りなくなりはじめる時が来ると思います。その頃まで辞めないでサックスを続けてください。」私からのお願いです。サックスは、奥深い楽器です。私は17年やってますよ。こうやって、人に教える仕事にしちゃているくらいですから。
武田先生は俊の目を見た。
私は、このサックスで何台目かな?100万円はするんですよ。」
武田先生は、自慢気に買ったばっかりのサルマーのピンクゴールドのサックスを俊に見せた。
この時は、俊には、本当に単なる自慢話にしか聞こえなかったが、この話は、今後サックスをやっていくと深い意味がある事もこの時はまだわかっていなかった。また、良い楽器の事など考える余裕さえなかった。俊のサックスは、今、始まったばかりだから。
これから、あまり、遅くない時期にこの男は、サックスを良いものと交換する事になります。




