第3章サックスとの出合いその4サックスの音が出た
「どうぞ、口に咥えて息を入れて吹いてみてください。」
ありさは、俊の組み立てたマウスピースを見て 、咥え方と息の入れ方の実演をして見せた。
綺麗な音が出た。
今度は、俊がおもむろにマウスピースを咥えて息を入れた。
「スー。スー。スー。」
マウスピースに息を入れたが音は出なかった。
「スー。スー。スー。」
「スー。スー。スー。」
「スー。スー。スー。」
俊が力まかせにマウスピースに息を入れたがいっこうに音はでなかった。
「ハアハアハア。」
俊は、息があがった。
「なんで、音が出ない?」
俊は、左手で持ったマウスピースを眺めて、独り言みたいに問いかけた。
「あっははは。」
ありさは、大きな声を出して笑った。
「はい。良くできました。」初めてやる人がかならず通る道だから気にしないで、笑ったりしてごめんね。あなた、とってもわかりやすいから。」
ありさは、そう言って微笑みがやまなかった。
俊は、ありさの顔を見て「ムッとしていた。」
「じゃあ。私と同じ口の形にしてみて。」
ありさは、丁寧な口調で口の形を俊に見せて、マウスピースを咥えて俊の目を見た。
「はい。下の歯の上に唇をまきつけるようにして、こんな感じ。」
ありさは、口をその形にして俊の目の前にだしたので、俊もふざけて、ありさに「キス」をしようとした。
「バカ!なにやってるのよ。ふざけないでよ。真剣に教えているんだから。」
ありさは、俊の顔をよけて顔を赤くして怒った。
「ごめん。」
俊は、ありさに頭を下げて謝った。
「それでは、もう一度、私と同じ口の形にしてみてください。」
ありさは、今度は、俊と離れて口の形を見せた。
「今度は、あなたがやってみてください。」
ありさは、俊の口の形を見た。
「はい。okです。いい感じです。」
ありさは、俊の口の形を見て笑顔で見つめた。
「その口の形、忘れないでください。これ、アンブシャーと言います。アンブシャーは自分の形にしてください。そうしないと一定の音を出す事が出来ません。わかりましたか?」
ありさが、俊の目を見て視線をはずした。
俊は、普通に口に咥えれば音は出るものだと思っていた。そして、サックスを吹くには、口の形が重要だとわかった時、強い衝撃を受けた事は、わすれないでいた。
「今度は、上の歯ね。」
ありさは、そう言って説明を始めた。
「それでは、マウスピースの先端より1.5cmくらいのところにあてます。しばらくするとマウスピースに上の歯の後、傷がついてきます。薄いラバーシールをつけておくといいですよ。下の歯に巻き込んだ唇から出血する人もいるので練習の時は、リップガードをするといいですよ。」
ありさは、俊の顔を覗きニヤリとした。
「それでは、息を吸い込んで、マウスピースに息を入れてください。」
ありさは、俊の顔を覗きこんでいっしょに息を吸い込んだ。
「ピィー。!音が出た。」
俊は、驚いた表情でありさの顔を見た。
「はい。良くできました。」
ありさは、俊の顔を見るとくちゃくちゃな顔をして喜んだ。手と足をバタバタさせて喜んだ。




