第2話
TACネームとコールサインなるものがあるなんて知らなかった、、、
発艦から約5分。既に竹島周辺が確認できる程の位置まで来ていた。
巡航速度が2000Km/h以上にもなるジェット戦闘機だと数十キロ離れた場所にも直ぐに行ける。
そこまで早いのであれば空母は必要ないと思われがちだが、基地と空母の二か所から緊急発進し、より早くより多くの戦闘機で威嚇や迎撃を行うという、ここでも"力"で争いを防ぐ方針によって十数もの空母が配備されているのだ。
『こちらマウス。間もなく作戦区域に到着する。このまま予定通りにいくぞ』
編隊を組みながら少し左へ寄ると、同じように編隊を組みながら他の小隊も近付いてくる。
そうして十数機が集まり、ボーリングのピンのような形の編隊を組み始めたその時だった。
『こちらアルフォース4、前方に敵機と思われる機影発見!数は約40だ!』
突然無線から敵機発見の情報が来る。他艦から先に出た機からだ。
『位置は竹島西約40Km、至急応援を頼む』
「40ってかなり多いんじゃ…」
違和感を覚えて真司はそう呟く。
敵のKCV-I級空母は30機も搭載できない軽空母に分類される。
40機というと空母から出すとしたら搭載機の半数以上に当たる数である。敵の戦力を知っているならば早々にそんな出すだろうかと不思議に思うだろう。
『スラッシュとスカルは援護に回れ。他は周辺のけいか…』
『こちらスプリット1!敵機約50を発見!位置は竹島南西約55Kmだ!至急応援を』
無線の命令を言い終わる前に別の小隊からまた目撃情報が上がる。
『50だとッ!?いくらなんでも多すぎるぞ』
だれもが明らかに向こうの戦力が異常だと思った。
たった1つの島だけに100機弱も投入する訳が無いのだ。
『戦力が足りないぞッ!空母各艦から増援を出せ!戦闘が予想される区域付近の艦は迎撃準備だッ』
『こちらアルフォース1、敵機増えてます!現在約60ッ』
想定していなかった報告が次々と上がって来る。
「まさか…」
薄々思っていたその予想は的中した。
この状況ではやりかねない、しかし流石にそんなことはしないだろうと楽観的に思われていた。
大艦隊で来たのももしもの為だが、半数以上の乗員が出番は無いと思っていただろう。
だれもが誰もが無いと思い一番避けたかった展開…
『…こちら情報本部!たった今…韓国から宣戦布告されましたッ!』
そう、これが全ての始まりである"日韓戦争"の開戦だった。
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今回の兵器紹介
・F-2戦闘機(通称"ハイパーゼロ")
基本性能
乗員1名(F-2Bのみ2名)
全長15.52m 全高4.96m
エンジンIHI製F110-IHI-129(換装後及び2000年以降製造はIHI製J-10-5next)
最大速度マッハ2.0
フェリー飛行時航続距離4,000km(J-10-5next搭載機は4,550km)
兵装(F-2A・要撃時)
JM61A3 20mmバルカン砲
11式空対空誘導弾 (AAM-6)×8
13式空対空誘導弾 (AAM-5)×6
1989年(平成元年)から導入された国産の汎用多任務戦闘機
老朽化のため後継機のF-3に置き換えが始まっているが、現在でも日本軍の主力機であり、海軍は約機、空軍は約機を保有している。
派生型が多数あり、エンジンや兵装等の換装、改修を行ったF-2αや偵察専用のF-2C、ステルス機のF-11などがある。