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もし日本が平和主義でなかったら(旧)  作者: R-Ryoma
開戦(単話)
24/25

第19話

一か月開いての更新となってしまいました、スミマセン

気付いたらその間に総合評価100Ptとなったようで…こんなものを評価していただけるとは嬉しい限りです

読んで頂いた皆さんありがとうございます!!


えー肝心の中身ですが、やっと今回から本編(?)開始&ヒロイン(??)登場となります

書き始めて約6ヵ月、遂に始まるのかって感じですか、これからが(多分)おもしろくなっていくと思うので是非生暖かい目で見ていて下さい!


「えーと……ここで合ってるのかな?」


目の前に広がるのは配管やら何かの機器がこれでもかというほど大量に設置された白い壁の通路。分かりやすさなど二の次三の次、まさに軍艦らしい艦内である。その複雑さは初めて来たらまるで迷路のようである。たとえそれが軍人であってもだ。


「しっかしなんでこの艦こんなに分かりにくい構造にしたんだよ。改装すんのは良いけどこれもうちょっとどうにかなんなかったのか…」


一人でボソッと愚痴を吐きながら信司は配管まみれの狭いT字路を右に曲がる。

今も現役で主力艦の頭数に入るなみかぜ級駆逐艦だが、元々が古い部類に入る艦である。何度も改装を行っていてあちらこちらに改造跡があるわ内装がおかしくなってたりわと大分中身が複雑になっているのが身をもってよく分かる。


「駆逐艦は一番後ろが飛行甲板だからここかな…っと」


通路の行き止まり、部屋名も何も書かれていないドアだかまあ間違いではない…だろう……多分。そう願いながらノックをしてドアを開けた。


ドアを開けたそのの先は…ヘリだ、翼を折りたたんで格納されたヘリがある。ビンゴだ。


「失礼しまーす…………あれ?」


確かに格納庫だが、異常に静かで人の気配がない。


「誰かいますー!?」


もう一度呼びかけるが、やはり誰も反応はしない。大体は中で何かしら作業をやっている筈の整備班だがそうしてこんなに静かなのだろうか、そう疑問に思いながら信司は二、三歩中を歩いた。駆逐艦だから小さな格納庫だ、すぐにヘリの横へ出て……人がいない理由が分かった。船尾側を向くとその先には飛行甲板と青い空が見えて……手を目の上に置いて海上を見回す人だかりが見えた。


「なるほどねー」


例の"暇な奴は外を見てろ"という命令を忠実?に守っているようだ。どうにもここからは仕事を投げ出しているように見えない気もするが…気のせいなのだろう、きっと……。


取り敢えず彼らに話をしないと何も始まらない、そう判断して飛行甲板へと出ようとするとガチャリという音を立てて目の前にあるヘリのドアが開いた。


「あーッもうあのアホどもはッ!誰一人真面目にやってないじゃんか!!」


突然ヘリから飛び降りてきて愚痴を零したのは…すらりとした体にフライトスーツを身にまとい、短めの髪を後ろ束ねた少し身長の低い女性だ。

向こうを向いているからなのかこちらには気付いていないようだ。


「まったくもって野郎どもは…まともに仕事してるのは私だけかよッ…」

「えっと、あのぉ~」

「ヒエッ…ってあれ?」


お化けか何かかと思ったのか、身構えをしながらこちらに振り向いた。


「あ、もしかして艦長が言ってた新垣中尉…です…?」

「はい、そうですけど…」

「あッ、あ、あの……く、口の悪い見苦しいところ見せてしまいすみません!!!」


なぜだか分からないが、その女性は会った直後だというのに腰を90度かと思う程に折って謝った。

まるでこちらが幹部クラスの人間かと思ってしまう程だ。


「いや、そんな事気にしなくても…その若さでパイロットなら同じ年代の筈だし、もう少し気軽に喋ろうよ…」


信司は両手を前に開きながらそう提案をした、があまり効果は無さそうだ。


「ところであなたは…?」

「あ、私は舞鶴飛行隊所属の固定翼機操縦士、松田咲少尉です。この艦のヘリの操縦を任されています!」


自己紹介であんなにも必死な理由は分かった。年齢は同じくらいかと読んでいたが、階級が一つ違うのだ。それを大きく責任に感じたのだろう。

基本的に日本軍ではそういう教育はしていない筈だが…


「なるほど、だからさっきは…階級なんて関係ないよ。」

「わ、分かりした……」


やっとどうにか飲んだらしい。やはり階級や上下関係を重視する人のようだ。同じ年代でも特出して階級の高い信司は恐れ多い存在に見えたのかもしれない。


「あ、そうだ。これ、艦長が中尉に装備させといてくれって言われたものです。あとその後に船内無線で連絡を寄越せとも言っていました。」


何かを思い出したかと思うと、すぐ近くに置いてある装備を持って信司に渡した。


「おお、サンキュー。あのオッサン気が利ねー、持ち物全部捨てちゃってたからなー」

「おっさん……?」

「ところでなんでこれ航空隊員用なんだ?船にいるときじゃ必要ないんじゃ?」

「艦長にそれを渡せと言われたので……」

「ふーん」


なにか突っかかる所が双方にあったが、取り敢えず三島の話を聞けば分かるだろうと考える。ごそごそと装備品入りチョッキを着ながら無線で三島を呼び出した。


「えー艦橋の艦長、聞えますか?こちら格納庫、新垣」

『はいこちら艦橋の艦長。よし、準備はできたな?』


何の話かは分からないが、その声から察するにどうやらこちらの連絡をを待っていたようだ。


『さてと、よし始めるか。今からお前らだけに現状の説明をする、松田もよく聞け。新垣、まずはヘリの電源を投入しろ』

「ラジャー」

「了解しました」


信司は言われるままにヘリに乗り込みマスタースイッチを押した。主電源が投入されてヘリのメインシステムが起動する。


『エンジンは起動させなくていい、ANAFCIISだけを起動させてみろ』


言われて通りにANAFCIISの起動スイッチだけをオンにする。操縦棒の右にあるANAFCIIS専用のモニターが点灯して…


「マジかよ、これもダメなのか……」


そこに表示されたのはCICで見たのと同じ、"エラーが確認されました パスワードを入力してください"だ。


「なにこれ…こんなの見たことがない…」

「やっぱりヘリも出たか」


まるで知っていたかのように三島が言った。


「やっぱりってどういうことだよ!?」

『いいか、機械の"エラー"ってのは予期せぬ異常が出た時に出るもんってのは知ってるだろ?』

「だからなんだってんだ?」


三島の妙な遠回しの言い方に信司は文句をぶつける。


『まあ落ち着いて聞けって。今出てるANAFCIISの"エラー"はなみかぜとそのヘリの二つの機械で"同時に"起きた、しかもシステム要員ですら知らない存在の"パスワード"が入力されてないからって内容でだ。これが何を意味しているか分かるか?』

「それ、もしかして…誰かが意図して起こしたもの……とかです?」


二人の言い合い?を静かに聞いていた松田がそう呟いた。


「察しが良いな。そうだ、これは人為的に起こされた事態、そう考えるべきなんだ」

「おい艦長、それ本気で言ってるのか?軍の最重要システムにハッキングしてるって事だろ?そんな事ありえるのか?」


いくら地上の環境と引き離され一般常識に疎くなる海軍の人間とはいえ、流石にその位は分かる。システムエラーを人為的に発生させる、それが完全に"異常"な事だということに。


『本気だ、どれかと言うと"信じざるを得ない"だがな。誰が何を考えてこんなことをしたのか知らんが、これは事実だからな』

「おいおい誰がそんなことできるんだよ…向こうの野郎にそんな脳ミソと技術はねぇだろうし……」


珍しく調子ものの信司が真面目な顔をして考える。


『ま、今はそんなの考えたって仕方ねぇ。しかしだ、状況が把握できた以上こっちも何もしないわけにはいかない。そのためにお前をそっちに送ったんだ』

「え?」

『新垣、お前は機長としてそのヘリに搭乗、当艦周辺の哨戒・味方艦艇の捜索を命じる。嫌とは言わせんぞ、艦長命令だッ!』

「おいマッジかよォーーーッ!!」


今さっきの真面目に考えた時を忘れたかのように、思わず信司は無線の先に向かって叫んだ。


「なんで専属操縦士いるのに部外者の俺がヘリ操縦に回されるんだよ!?しかも機長とかおかしいだろ!!」

『お前みたいな人材が俺の指揮下にあるなら使わないわきゃ無いだろ?』


三島はそう当然のように答える。すました顔でそう言うのがイメージできる程の落ち着いたコメントだ。

あくまでも同じ“空を飛ぶ人間”という立場と固定翼機を操縦できる点から整備補助やら人員の足しにでも回すかと思っていたが、三島はその予測を大きく外してきた。


「使うって…相変わらずそういうとこ変わんねぇよな…」

『と、言うことで新垣中尉を機長、松田少尉を副機長として早速発艦して貰おう。さあ仕事開始だ!!』


あんにゃろー等とブツブツと文句を言いながらも、本心は特に嫌というわけでもなく手慣れた動きでスイッチを操作して離陸の準備をし始めた。


いそいそと作業を進める真司、しかし本来の機長である松田は固まっていた。一体なぜこの人がヘリの機長なのか?不満があるわけではないが、単純に疑問が浮かぶ。

聞いた話では戦闘機が撃墜されて救助された筈、なのになぜヘリが操縦できるのか?目の前の光景から考えてもそれは嘘ではということが分かるが、どう考えてもおかしい。


日本軍の操縦士は人それぞれに操縦できる機種が限られている。それは訓練するのに時間が掛かるからなのだが、機器更新等でたまに操縦機変更して何機種も操縦できる人間もいる。しかしそれは大抵ある程度の年齢以上の人に限られる上に、固定翼機と回転翼機の両方が操縦できる人なんて聞いたことがない。だがこの人はそれを


しかもこの人には他にも不思議な点がまだある。第一こんな若くに中尉なんて位になれる人はそうそういない。いたらそれは最初から大佐レベルの昇任が約束されたエリートコースを行くほんの一握りの人間しかいない筈だが、この人はとてもそんな人とは思えない。

一体この人は何者なのか?


「なあ、少尉。これV型改造機で合ってるよな?」

「は、はい。そうですけど」


松田が考え込んでいる間も信司は気にせず作業を続ける。離陸の準備はあとはほぼ表に出して翼を展開するだけというところまでは来ている。


「あ、あの…中尉は確か固定翼機の操縦士ですよね?なんでヘリが操縦できるんですか?一体何者なんですか?」

「え?あ、そうか…普通じゃおかしいもんな……」


信司は思い出したのかのように反応した。


『……今から10年ちょっと前の話だ、天性の人間離れした航空機の操縦技術を持った人間が国防大学校航空部に入ってきてな。その後国防大を次席卒業、岩国海軍航空教育隊に配属されたが途中航空工廠に試験飛行操縦士テストパイロットとして引き抜かれ、そこでF-3試作派生型の問題点発見等の多数功績を残し幹部候補生クラスの昇進。今は空母いずものF-2操縦士を兼務しながら現在もテストパイロットとして重宝されている知る人ぞ知る日本軍精鋭の操縦士。そんな嘘みたいな経歴を持つ操縦士、それがコイツの正体だ』


いつから聞いていたのか、信司が答えるよりも先に三島が答えた。


「……て、テスト…パイロット……!?」


松田は目を見張りながらそう呟く。

今回より更新頻度が「不定期更新(目標は一か月に一回)」となります。ごめんなさい…


それに伴い今度からはもう少しストーリを考えて投稿するつもりですが、現在この小説はほぼプラット無しで書いています。

そのため私もどう動かすか殆ど大まかにしか考えていないので、もしよければこの小説の大まかな結末・過程について読者様目線の意見・要望・助言があれば伝えて欲しいと思っています。

例えば「登場人物が数名死ぬ」や「○○が介入してくる」などでいいので、もし何かあれば感想に送り付けて下さい。


大体どんなものでも喜んで見て参考にさせていただくのでよろしくお願いします。

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