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もし日本が平和主義でなかったら(旧)  作者: R-Ryoma
開戦(単話)
21/25

第16話

なんでか中身が膨れ上がったぞ……まあいっか

え?読みにくいのは仕様だって(震え声)



「……こちら西方特別作戦総司令おやしお、総司令おやしお、これより対韓国の作戦指示を行う」


突然、会議開始の通告がされた。ヘッドフォンの向こうからガチャリという音が聞え、声の主は女に代わる。


「まずは現在の戦況の報告をします。竹島奪還作戦は約90分前に竹島制圧により成功、13名の韓国軍兵士を拘束し、現在は負傷者2名と共に岩国基地へと輸送中です。竹島周辺の海域は韓国本土より約100キロ、ウルルン島線付近までを制圧して前方に第五国防艦隊群第521.522艦隊、後方に第三国防艦隊群第321.323.324艦隊、第311.312艦隊を展開して警戒哨戒中。また、対馬海峡北海域も韓国本土50キロ付近まで制圧。前方は第二国防艦隊群第221.225艦隊、後方に駆逐第223.224.227艦隊と空母第211.261艦隊が展開中です。続いて空域です、竹島周辺空域は艦艇の制圧海域の上空を制圧しており、後方哨戒中の空母艦の艦載機及び春日、築城、岩国の各基地配属機による警戒哨戒中です。詳細はANAFCIISにて各自確認をお願いします。」


その女はありとあらゆる情報を怒涛の勢いで伝えていく。


「次に被害状況です。艦艇は上陸作戦使用の94式揚陸艇が被弾等で損傷、その他は被害なし。航空機は作戦参加した各空母艦載機は合計32機が撃破又は行方不明、47機が被弾、損傷など、基地所属の航空機は5機の損傷です。人的被害は艦載機搭乗員4名が行方不明、8名が死亡、23名が重軽症。その他は艦艇に若干数の重軽傷者が出ています。」


作戦開始前に出撃待機をしたのは多くても200ほどの筈だが、下手したらその総数の4割どころか半分になりかねない数が撃墜、損傷している。被害状況を聞いただけでも、どれだけ多くの数の敵戦闘機が襲撃して来たのか想像がつく。


「では作戦指示へと移ります」

「総司令の三上だ。最初に、おやしおで選考した作戦を伝える。」


総司令だという最初の男の声に変わる。


「まずはこちらが先制攻撃を仕掛ける場合だ。攻撃目標は釜山市海軍作戦司令部の地上施設と艦艇、大邱空中戦闘司令部の地上設備と航空機、反撃を仕掛けてくるだろう敵艦隊の三つ。計画としては、現在出撃中のF-3を使ってレーダーサイトの破壊及び空域偵察を行った後に春日、岩国、美保に待機中の第91臨時航空戦闘隊で戦闘海域の防空及び韓国領南東部の制空権を確保、また同時に第92臨時航空攻撃隊と海域に待機中の艦隊により目標への攻撃及び支援を行う。なお、その際に必要であれば適宜富士駐屯地より巡航ミサイルでの攻撃も行う。その後、海域と空域双方の制圧が確認されたのちに下関港にて待機中の第301.302陸揚隊が釜山の海軍作戦司令部に上陸、占拠を行う。先制攻撃の案は以上だ。」


総司令の説明と共にLASCFIISと同期したモニターには作戦のイメージが表示された。見る限りは数百の航空機と日本軍全艦隊の1/4もの大艦隊という大量の戦力を使い、韓国側に反撃の余地も与えない勢いで制圧、占領を行うようだ。


「次は向こうから先制攻撃が来た場合の作戦案だ。敵の攻撃パターンとしては大まかに分けて複数艦隊での一点集中攻撃、潜水艦による奇襲、大規模航空団による対艦、対地攻撃の三つ、さらにそれらを複合した攻撃の合計4つ。まず最初の二つの場合だが、まずは周囲の艦隊が海戦勃発海域に急行し戦闘に参加、既に出撃済みの第92臨時航空攻撃隊も敵艦隊数に合わせて一部を攻撃支援へと回して対処とする。その際、複数海域にて攻撃があった場合には各艦隊の最も近い海域へと急行となる。三つ目の航空団による攻撃だが、基本は戦闘可能な空母艦載機と第91臨時航空戦闘隊による応戦とし、艦隊は戦闘空域より離脱とする。最後に複数手段による攻撃だが、これについては短時間で作戦を考案しても想定とは大幅に異なる戦闘となる確率が非常に高い、という結論が出たために詳しい作戦は設定しない。先に述べた作戦を複合させる形で対応しながら、前線の各員に臨機応変の対応を求めることとなる。軍としては非常に好ましくない選択だが許してくれ。作戦は以上だ、質問があれば受け付ける。」


大規模作戦の詳細を決めない、確かに軍としては異例の事態だ。普通の作戦ならまだしも、ましてや陸海空の統合作戦でである。


「こちら美保基地司令、38度線付近の対陸軍空爆は行わないのでしょうか?」

「あくまでも我々は本土防衛を謳って攻撃を仕掛ける。あまりにも一方的に攻撃をして壊滅的な被害を負わせることは不可能だ。敵が反撃に来れるレベルに止める必要がある。」


日本軍の復活した建前上、どこまで攻撃が許されるのかそのギリギリを見極めるような作戦を立てるよう、あらかじめ考慮されているのだろう。竹島は元々日本が領有権を主張しているので一応問題は無いと判断されているが、ここからは無理な法の拡大解釈によって可能にした行為であるので迂闊には手を出せない。


「他にはないな?ではこれで作戦指示は終了だが、最後に私から言っておきたいことがある。」


総司令はそう前置きをして話し始めた。


「日本は70年前に大きな罪を犯した、戦争だ。多くの死者を出して悲しみと恨みを生み出し、人々に苦しみを負わせた。誰が考えてももう二度としてはいけない行為だ。だが、今日、日本はもう一度その罪を犯す。国を守るという名目で作った軍で、"自衛のため"と言い訳をして他国の民を傷つけ、その土地を、自由を、夢を、希望も何もかもをッ…奪うんだッ。我々は決して、決して越えてはいけないラインを超えるんだッ!!これだけはは忘れないで欲しい…」


今の軍中枢の人間には重く、辛い話だ。戦後の貧しい中で育ち、日本を守るという名目で作られた軍に入り、戦争は"悪"とまで思っていたはずが、今はその"悪"を先頭に立って実行しなくてはならない。この境遇はどれだけ熱弁しても平和な環境で育った前線で戦う人間には分からないだろう。


「私からは以上だ、総員健闘を祈る。」

「…ッこちら第15艦隊旗艦しまかぜ、敵潜水艦と思わしき敵より魚雷攻撃を確認!援護を要請しますッ!!」

「…こちら第33艦隊あたごッ…敵艦隊を複数発見ッ!数は10以上ですッ!」


タイミングを図ったかのように敵目撃情報が上がった。


「こちら総司令、了解した。西部特別作戦統合群、これより韓国上陸作戦……いや、"日韓戦争"を開始するッ!!」



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今回の兵器紹介


・みちしお級指揮艦


基本性能

基準排水量:6,200t

満載排水量:8,685t

全長全幅:130.2m 18.5m

速力:27kt


兵装

高性能20㎜機関砲 CIWS:2基

125/64型多目的速射単装砲 (豊和工業製):2基


同型艦数:3

1番艦 みちしお

2番艦 おやしお

3番艦 あさしお


再軍備後の日本軍初の指揮艦として、1989年から導入された第八国防艦隊群所属の海軍直属艦。

これまでのように東京にある国防省本部指令から直接指揮する形から変わり、有事の際に編成された艦隊の旗艦として戦闘に参加の上で後方から指揮をとる形を確立した。


計画時から指揮艦として建造されたため、兵装は個別防衛用のみを装備しその代わりに強力な通信・情報管理設備や司令室設置を行っている。

特化した指揮能力は軍基地の指揮設備と同等又はそれを上回るとまで言われるほど高く、陸海空の統合作戦の司令を受け持つ際は作戦の要ともなる。

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