第12話
やはり登場人物が増えると会話があるんで書きやすいですねぇ……
ボッチの場面の2倍のスピードで書けるわぁ
更新を10日に一回(の予定)に変更しました。
“上手くいけば”毎月10.20.30の日位に更新となります。
「その中に人がいたんだ!二人まとめて救助頼む!」
『了解ですッ!できる限り寄せます!!』
真司は無線を切ると、周りを見回す…と言ってもいつの間にか視界はもう炎か煙しかない。これはもう非常にまずいというレベルだろう。
体を機体へと乗り出させ、倒れた操縦士をコックピットから引き上げようとするが…ここは海上だ。そんなに上手く人を引きずり出せない。
ただでさえ常に波のある海の上なのにそれに浮かぶ戦闘機の上だ。さらに足場が悪い。
「早くッ!!」
振り返るともうすぐ後ろに救援艇が来ている。グッドタイミングだ。
そのまま突っ込んできてギリギリまで戦闘機に寄せ、真司の手を取ろうと乗組員が手を伸ばす。真司は伸びてる操縦士を無理矢理掴みながらその手を取る。
やはり訓練された軍人だ、手際が良い。手を掴んだと思うとそのままグイッと引っ張られて気付いたら船の上だ。
伸びている操縦士も一緒に引き上げられて、すぐに船を発進させる。
「全く…心臓に悪い事を……怪我はありませんか?」
真司を助け出した隊員が尋ねてきた。真司と同じかもうすこし若いくらいだろうか、インテリ系の眼鏡を掛けた隊員だ。
「はい、なんとか。擦り傷などは沢山ありますけどねぇ…はは」
「なら良かったです…あれはひやひやでしたよ……」
少し厳しい顔をしていたその隊員は、そう言いながら安堵の顔を見せる。他の隊員はすぐに操縦に戻っている。
「まだ落ち着かないうちで悪いが、今の状況も教えてくれないか?ずっと情報が入ってなくてな…」
「はい、この付近はまだ上空が完全に制圧できていませんが、今から1時間ほど前には竹島奪還に成功しており、救援や撤退をしている所です。」
「そうだったのか…もうほとんど終わっていたとは……」
確かにさっきまではひっきりなしに戦闘機が飛び交っていたが今はもう落ち着いている。飛んでいても日本の戦闘機だ、恐らくは制空の為だろう。
「そう言えば、お宅らはどこの所属なんです?無線も使い物にならなくて…あなたたちが誰だか分からないうちに救援の要求したもので……俺は佐世保の空母第七小艦隊いずも所属の操縦士、新垣中尉だ。」
「私は舞鶴の駆逐第三小艦隊の駆逐艦なみかぜ所属、益田少尉です。あそこで操縦している彼らは中村准尉と花田准尉です。」
「舞鶴所属なのかぁ…前の二人もさっきはありがとな!」
前にいる准尉は少しこちらを見て会釈をする。
「ところで私も気になることがあるのですが…さっきのアレはどういう状況だったんです…?」
「いやあれはな…たまたま近くで撃墜された戦闘機の中に逃げ遅れがいてな、されがそのまま俺に向かって落ちてきたんだよ。」
「はぁ…」
その隊員は呆れるというより反応に困るような顔をした。
「そいつを助け出してたらこうなったって訳だ。」
「それで二人になったんですか…ごくろうさまです。で、この人は…日本の人じゃ…ないですよね?」
相変わらず寝ている例の軍人に目を落とす。さっきまでは良く見てなかったが、確かに軍服が日本の物ではない。これは…
「ああ、韓国軍…の人だろうな……」
「韓国が宣戦布告してる以上すんなりと返す訳にもいかないですし…捕虜ですかね」
「恐らくは…そうであろうな……。そんな捕虜なんて扱いにはしたくないが…」
「取り敢えず艦に戻って本部に聞いてみましょうか。まあどうなるかは決まっているようなものですけど……」
ふと前方へと目を向けるとすぐそこには駆逐艦なみかぜの姿が見える。
————————————————————————————————————————————————————今回の兵器紹介
駆逐艦なみかぜ
基本性能
基準排水量8,250t、満載排水量10,750t
全長152.1m、全幅18.4m
速力31ノット
機関
IHI製LM9000ガスタービンエンジン 4基
兵装
高性能20㎜機関砲 CIWS 2基
Mk.45 62口径5インチ単装砲 2基
Mk.41 mod.29 07式 SUM 1基
09式艦対艦誘導弾 2基
11式改短距離艦対空誘導弾 2基
04式4連装短魚雷発射管 2基
1992年(平成4年)から導入された汎用型駆逐艦。これまでの経験を生かして設計されたため、非常に使い勝手が良く日本各地の基地に導入され、主力駆逐艦の一つとも言える。
今でも海外の軍から輸入したいとの声も上がっており、既にベトナム軍やインドネシア軍などの軍が所有している。
近年、老朽化と新技術の開発に伴い全ての艦が改装され、今でも新型駆逐艦に見劣りしない強さを持つ。




