93 概ね理解
いやぁ、とりあえず文字は覚えたし、基本的ルールも覚えた。
ただ市販品を作る際、私にとってとても面倒くさい注意点がありましてね。
・こちらの文字では数式が使えない(パソコンの某表計算ソフトで使うような関数という概念が無い為か?)。
・魔石の属性を考慮して作らなければならない(基本は単属性、複数の魔石を使用することもできるが、魔石の性質が競合したりなんやかんやと難しいらしい……えぇと、誘拐されて作ったあの魔道具、魔石二種類使って作ったけど……失敗しなかったのは奇跡なのか? それとも日本語で書いたから?)。
私用の個人的な魔道具を作る時は考慮しなくてもいいんだけどね、そうもいかないわけで。
さてさて、座学は一応ひと通り教わり、弟子といたしましては、師匠の元で本格的な実技の教えを請いたいところでありますが。
虹色魔石やらなにやらの事があるので、この街から馬車で半日の距離にある師匠のアトリエに行くことはできません。(※師匠はいつも昼ごろ来てくれて、下の街で一泊して(いろんな規制がある街なので、親族でもこっちの区域に泊まることはできない)翌日の午前中勉強をみてくれて、昼食を食べてから半日かけて帰宅)
えぇ、わかっていますともよー。
そんなわけで、記述棒は使わずに、普通のペンで紙に下書きをして師匠に添削してもらい。
魔道具の原型を工作して、師匠に駄目出しをいただく。
……この原型に記述棒でちょちょーいと清書しちゃえば、魔道具が完成するのに。
アトリエじゃないと記述棒を使っちゃ駄目っていうのがネックです。
「マモリの書く式は独特で面白いよね。 時々びっくりするような魔力のロスもあるけど、基本は理解できているし、一度きちんと魔道具として完成させてみたいところだな……」
師匠も私がこの街から出られないのをラァトから聞かされているらしく(出られない理由までは知らないらしいが)師匠のアトリエに誘ってもらったことは無い。