表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/108

87 勧誘

 要約すると、青田買いということのようです。



 まず、使い古しの記述棒を物欲しそうな人物に与えます、その際渡す人間は相手に警戒心を与えない子供を使います。

 次に街で同じ人物が前に記述棒を売ってきた子供を探しているようなら、ゲイリーク氏の雇っている人間が接触して交渉を始めます。


 何回か交渉して、ダメならば諦めるし、お互いの利害が一致したら雇用契約を結ぶ。



 ゲイリーク・リタ・ランブラットと名乗った品の良さそうな紳士が懇切丁寧にご説明くださった。

 魔道具組合の支部長といえばかなり偉い人だろうに、なんで私みたいな小娘にわざわざ時間を割くのだろう?

 


「貴女はランブラット商会に所属する意思はお有りですか?」

 直球で聞いてきたゲイリーク氏の目は、まっすぐに私の目を見つめる。

 


 メリットは、身元を隠したまま収入源を作れる事、販売を商会に任せるので魔道具づくりに専念できること、商会経由で記述棒を仕入れる事ができる事。

 デメリットは、ランブラット商会以外には卸せない事、魔術式記述資格者証ライセンスカードは商会預かりなので自分で記述棒を購入することができない事、商会を裏切ると何かしらの罰則があること。


 現在、同じようにランブラット商会の庇護下で働いている魔道具士は17人居るらしい。

 この宿舎(むしろ屋敷だけど)に住み込みの人間が12人居て、他の5人は自宅通勤だったりするらしい。

 自宅で作ってはいけないのか聞くと、魔道具の実験は危険なので、頑丈に作られている建物内で行わなければならない規則であるとのことでした。


「もし、商会に所属する気が無いと言ったら?」

 ドキドキしながら聞けば、ゲイリーク氏は苦笑してそれも有りだと答えてくれた。

「ただし魔術式記述資格者証ライセンスカードの事は諦めていただきます。 本来、修行期間を経てから得られるものを特別な計らいにて発行したものなので。 今後もし資格者証が欲しいとなりましたら、通常通り弟子入りして修行期間を経てから資格試験を受けていただくことになります」


 ………特別な計らい…あからさまに胡散臭いのですが。

 どんな手段を使って規則をねじ曲げたのか。

 いや、支部長という肩書きを考えれば規則をねじ曲げるまでもなく、カードの発行自体に関与している可能性の方が高い?

 最悪の場合、魔道具組合自体が関わっているのかもしれない。



 危険を承知で一般人に記述棒を与え、その後誘拐。



 これは……迂闊にNOといえば、始末とかされちゃうのではないのだろうか。

 …………ごくり。


 どう答えたものか悩んだ結果。

 



「ゲイリークさん、ウチのしゅ…主人を説得するの、手伝ってもらえますか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ