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83 魔術式記述資格者証

 ひとしきり扇風機ヒーターを堪能した七三は手ぐしで髪を整えた後、また私に向き合った。


「貴方の魔道具作成能力を確認いたしました。 文字が共通語でないことは少々問題ではありますが、魔道具の作成に関する技術については申し分ないでしょう。 では、魔道具協会の名において、魔術式記述資格者証ライセンスを発行いたします。 おめでとうございます」


「………は?」


資格者証ライセンスカード発行までに5日掛かりますので、ご了承ください。 では、お疲れ様でした、失礼します」

 七三は机の上に広げてあった書類や筆記用具一式等をカバンに手際よくしまうと、声を掛ける間も無くさっさと部屋を出て行ってしまった。


 七三の後ろ姿を見送ると、ドア脇に居る灰色の髪の男が目に入った。

 今まで全く気にならなかったのはあれか、”気配を消した”的な何かだろうか。


 ドアが閉まる前に、何かの合図のように二拍手した灰色の髪の男がゆっくりと近づいてきた。

「一発合格とはやるねぇ。 面白い魔道具じゃねぇか、二種類の魔石を使うなんざぁ上出来だ」

 テーブルの上に置いてある扇風機のスイッチを入れ、七三と同じように興味深そうに観察する。

 七三にしてもそうだけど、魔道具が好きなのか?

 不意にドアをノックする音が響き、灰色髪の男が入室を促す。



 そして、テーブルの上には豪華な食事が!!


「合格祝いだ」

 食事をワゴンに載せて持ってきた、赤髪の男がそう言って食事を薦めるんだけれども。

 昨日私のお茶に睡眠薬仕込んだこと忘れてませんよ?


 お料理がいい匂いですけれども!

 若干いつもの酸っぱい香りがしますけれども!

 お腹がぐーぐーなってますけれども!


「い、いい加減お家に帰らせてください」

「まぁ、飯を食ってからでも良いだろう、どうせ外泊しちまったんだしよぉ」

 良くない!

 灰色髪の男は七三が座っていたソファに腰を降ろすと、オードブル形式で広げられてる料理をパクパクとつまみ出した。


 ぐきゅぅぅぅ……


「毒なんざぁ、盛ってねぇ。 昨日から飲まず食わずなんだ、少しぐらい腹に入れておけやぁ。 腹の虫も音を上げてるじゃぁねぇか」

 肩を揺すって低く笑う灰色髪の男をつい睨んでしまう。

 パクパク料理をつまんでいる灰色髪の男を睨んでしまう。

 美味しそうに食べてるよね……。

「ほら、俺が食ったって平気だろぉが」

 皿とフォークを目の前に置かれる、うぅぅ、くそぅ!

 腹が減っては戦が出来ぬ!!!


「いただきますっ」

 ヤケクソ気味にそう宣言し、フォークに鳥の唐揚げを突き刺してパクリ。

 ……隠し味(隠してないけど)の酸味に眉間にシワが寄ってしまうが、酸味を凌駕する肉汁の旨味に次へ次へと手が伸びてしまう。




 うぅぅ……口惜しいが美味うま――――――――ぐぅ。

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