81 書くともさ
差し出された白紙の前で固まる私の前に座る七三は静かに待つ。
書いても良いのかな……。
書かないと、どうなるのかな、最悪始末される?
良くて、そのまま家に帰され…ないよね。
……よし、書くか。
ペンにインクを付けて、つっかえながら白紙に走らせる。
「公用語で記入してください」
手元を見ていた七三に注意された。
だよね、日本語わからないですよね。
「こ、公用語、書けません」
素直に申告すると、うぬぅ…と七三が唸って考えこむ。
因みに書いた式は”扇風機”の式(それもダイ○ン式の羽のないタイプ)。
これだと、風属性の魔石が有れば作れるわけですよ。
虹色魔石がバレてる可能性もあるけれども(ポーチの動力用に入れてたのが見つかってたら)全属性の魔石を基準に式を作るのはやめておいた。
でも、読めなければそこまで気にする必要ないよねぇ、気を回しすぎたか。
「何処の言語ですかこれは…。 なんて統一性の無い」
ええ、本当に。
平仮名カタカナ漢字にローマ字を組み合わせて書いてあるから、知らない人が見ればバラバラだよね。
「…いいじゃないですか、これでもちゃんと動くんだから……」
「動きますか?」
あからさまに疑う視線に頷くと、とうとう記述棒を渡された。
「ではその式を使用して、魔道具を作成してください」