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80 試験開始
「それでは、最初に僕が質問をしますので、答えてください」
バインダーっぽいものを手にした七三は至極事務的に始めた。
「あ、あの、ちょっと聞きたいことがっ」
そもそもコレは何なのかと。
聞きかけて、七三の眼鏡越しの鋭い視線に口が勝手に閉じた。
「最初に、僕が、質問をします。 貴方は、それに、答える」
はっきりしっかり区切りながら繰り返す七三に、これ以上言うと七三の機嫌を損ねて、この犯罪組織(多分)の始末要員とかにさっくり処分されそうな気がしたので、無駄な努力はやめた。
「…了解いたしました」
「よろしい。 では。 貴方はお金が欲しい?」
……魔石を売って貯めた金が結構あるので、それ程でもないので「NO」と答える。
「貴方は魔道具に興味がある」
NOと答えたら、もしかしたら逃して……くれないよね、うん。
じゃぁYESにしておくかな、黙秘権なんて無いようだし。
その後、数問聞かれてヒアリング調査は終わった。
七三は私の眼の前に白紙と、普通のインクを付けて書くペンを置いた。
「それでは、魔道具用の何か簡単な式を書いてください」
はいキター。