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77 ここはどこー
あれか、あの記述棒を貰っておいたらこんなことにならなかったのか!?
一服盛られて目覚めたら朝でした。
一般的な部屋のベッドの上で、いつの間に着替えたのか寝間着。
きっと夢遊病の如く着替えたんだろう、うん。
脱いだ服は昨日買った荷物…油と共にベッド脇の棚にあったので、着替えておく。
ああ、一個違うところがあった。
私の大事なポーチが無い。
さすがの私も、嫌な予感しかしないわけです。
窓の外を見れば街並みの向うに壁が見えるので、街は出ていないとわかる。
コッソリと部屋のドアを開けて外を伺……。
「やぁ、おはよぅ」
ドアの横に背をもたせかけ、灰色髪のせむし……じゃない。
びっくりして見上げた視線に気づいたのか、しゃんと背中を伸ばした灰色の髪の男は、長い前髪の下でニヤリと口元を歪ませた。
「おはよぅ、奥さぁん。 良く眠れたかぁ?」
………。
そっとドアを締めました。