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62 囁き
あったかいなぁ~、むふふふふ。
腕が太いから枕としてはイマイチだけど、暖かさは文句なしです。
後ろから抱きしめられて、少し胸をときめかせながらもおとなしく目を閉じる。
「――――マモリ」
低い声で名前を呼ばれて、目を開く。
「なぁに?」
返事をするがそれに答える声は聞こえてこない。
だけど、ラァトが起きているのはわかるので、静かに待つ。
「マモリ…」
回されている腕に、少し力が入る。
「君に、好きだと伝えてもいいだろうか」
耳に直接流しこむように、吐息さえ聞こえる距離で囁かれた。