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61 喉元すぎればなんとやら

 手が、治っていた。



 普通に目覚めて、普通に起き上がって、ハッと気がついてなぜか砂が積もっていた左手を持ち上げてグッパーグッパーしてみる。

 異常なし!!

 昨夜は痛みで気絶するように眠りについたのに、なんで?



 なんで、の理由はベッドの下にありました。


 ベッドの下のフローリングに、ベローンと寝そべっているラァトを危うく踏んでしまうところでしたよ!

 文句の一つも言ってやろうとベッドを降りてラァトの前にしゃがみこんだんだけど…。

 真っ青な顔で眠るラァトに、文句が引っ込んだ。


 もしかして……看病してくれた?

 というか……治してくれた?

 魔法で、治してくれたの?

 魔法で治せるんだ!? 凄い! 是非とも覚えてみたい!


 若干興奮してしまったが、青い顔をしているラァトを思い出す、興奮している場合じゃなかった。

 酷く具合の悪そうなラァトを床の上で寝かせてられないよね、ど、どうやって移動させよう。


 なんとかベッドの上に持ちあげられないものかと、ラァトの上半身を持ち上げるべく手を掛けようとすると、パチリとラァトの目が開きガバっと起き上がり、起き上がったと同時に一瞬ヤラれそうな鋭い眼で見られたが、私と認識したと同時に視線が一気に柔らかくなった。


「―――腕の調子はどうだ?」

 おずおずと聞かれる。

「ラァトが、治してくれたの?」

 確認すると小さく笑みが返された。



 ベッドに凭れて青い顔をしているラァトを無理やりベッドに寝かせる。

 いつもパンいちで寝てるので、寝にくいだろうと服も剥ぎとってしまう。

 軽く抵抗されたが、いなして剥いた、げっへっへっへ。



 毛布を肩まで掛けてポンポンと叩く。

「しっかり休んでね」

 今日がお仕事がお休みの日でよかった、魔力は体を休めれば回復するということだから、ぐっすり寝てもらおう。



「……マモリ…少しだけ、一緒に寝ないか?」



 恥骨に響く低く甘い声(誇大表現)に誘われて、すんなりとその腕の中に収まったのは、あれだ。

 二度寝が大好きだからです、他の下心なんて無いのです。



 

 え? 負傷させられた件はもうイイのかって?



 だって、がりなりにも夫婦で、今後も一緒に生活をしなきゃならないんだから、1回目こんかいは大目に見ることにした……こんなにげっそりしてまで怪我を治してくれたし、そもそも私が原因だしね。


 でも、もしも二回目があったりしたら、逃げることも視野に入れなきゃなんないかなぁ?

 いつでも身動きが取れるように、準備はしておかないといけないね。



 淡々と必要な準備を考えてるだけなのに、ずきずきと胸が痛んだ―――――

 

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