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55 実験

 私を呼んだ女の子は、すり減りすぎて捨てるような記述棒を拾ってきて、それを売って稼いでいるのだと言った。

 滅多に買う人はいないけど、たまに私のような人間に売れることがあるのだという。

 これでお父さんにお薬が買える、とか言っていたがスルーしておいた。

 うむ、私が地を這っていた時に手を延べてくれるような人も居なかったわけだしな、家族が居るなら手を取り合って生きればいいさ。



 私は少女からチビた記述棒を2本購入した。

 少女と別れた後、工作に使えそうな物も雑貨屋で購入。


 購入した記述棒が真っ当なものではないのは理解しているんだ、だけどね……。

 背徳感に後押しされて半ば駆け足で帰宅した。


 居間のテーブルに材料を広げる。




 昨日、ラァトに家電の『魔術式』を読んで貰ったときに閃いたことがあるんだ。

 電池切れの魔石をこっそりと口の中で転がしながら、工作にとりかかる。


 まずは初歩的なところから。


 黒く塗装された木の板の上に金具でガラス板を取り付ける。

 ガラス板からくぃーっと記術棒で線を引いて、下方に空けておいたスペースに引っ張る。

 あ、あと、魔石を嵌める場所も作ってと。

 そっちからも線を引く。

 そうしてから、先ほどのスペースに記述。

『="ガラス・発光"』

 小さい虹色魔石を魔石スペースに嵌めると、ガラスが眩しく輝いた。

 魔石を外したら、光は消えた。


 成功。


 呆気無い程すんなりと成功。

 良かった! 日本語通じたよ! 意味さえちゃんと有れば問題ないのね!? そうなのね?


 よしよし、調子づいてこれにスイッチを足す。

『=if("スイッチ・off","魔力off","ガラス・発光")』

 意味としては、もしもスイッチがオフの時は魔力もオフ、それ以外の時は発光する…という、表計算ソフトで使用する関数の式だ。

 魔石をセットして、スイッチをオンオフしてみると、バッチリー!!!

 うっしゃー!よしよしよしっ!

 じわじわと達成感が湧いてくる。

 そうそう、ややこしい関数が正しい答えを返す時が一番嬉しいんだよね。



 うふふふふー、事務歴3年の能力ちからを見せてやるわー。


 

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