54 記述棒
記術棒の存在と電化製品の仕組みを教えてもらった。
大変興味深いです。
特に、記述棒で目的の現象を指定する魔術式を書ければ、魔力は必要ない、ってところとか!
翌日ラァトを仕事に送り出した後、朝一番に記術棒を買いに行った。
だが簡単に購入することはできなかった。
まず第一に、子供が来る所ではないと追い返された。
食い下がると、誰の紹介で来たのか聞かれた。
紹介者ではないが、魔術師の身内であることを伝える、ラァトが魔術師なので顔パスしないかという思惑を込めて。
勿論ラァトに迷惑を掛ける訳にはいかないから、名前は出さずに。
魔術師の身内でもダメだと言われ、それならば魔術式記述資格者証はあるかと問われたが、有るわけがない。
「お嬢さんはまだ知らないのかもしれないがね、魔道具を作るには資格が必要なんだよ。
誰も彼も魔道具を作れるわけではないんだよ、危険だからね。 わかったら、ちゃんとお勉強をして資格を取ってからまたいらっしゃい」
店を閉めだされた。
あからさまに肩を落としていると、魔道具店の横の路地から、小さい子が私に手招きしていた。
それだけならば、無視をしたんだけど、その子は手の中にこっそりと小さな記述棒を持って、私にだけ見えるようにそれを振ってみせた。
私は誘惑に惹かれるように、その子の元へ近寄っていた。