47 寝相は良い(自己申告)
右向きで寝たい派の私は、壁の方を向いて寝られる向かって左側を選びました。
何枚も重ねてあるおかげで、せんべい布団並の寝心地を確保してある寝床は、結構快適であります。
しかしながら、荷台なので大人二人が並んで寝ると寝返りが打てないわけなんですけれども。
大丈夫です、私、寝相は良い方ですから! たぶん!
「おやすみなさーい」
毛布を一枚かぶって背中合わせで就寝。
他人の気配が気にならないかって? 問題ないねー。
初のローカルな旅で疲れてるから、目を閉じてちょっとすればスッコーンと夢の中。
そして、明け方。
やっぱり朝は冷えるわけでして。
でもなぜか背中から首、お腹のあたりが、温かいです。
これはあれだ、後ろから腕枕だ。
もう丸一年以上ぶりの腕枕。
元彼とたまのお泊りの時は、必ずこうやって眠った。
まぁ、奴の浮気が原因でお付き合い半年で破局だったわけですけれどもー!!
ギャンブルと浮気は許しちゃいけねぇ、っていうのが祖母の遺言ですから!
はっはー! 祖母はまだまだ健在ですけれどもね!
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あぁ、もうっ。
なんであっちの世界、思い出しちゃうかなぁ…っ。
それも大好きなおばあちゃんのこと。
心にしていたフタが少しだけずれてしまって。
じんわり浮いてきた涙が、拭う前にポロリとこぼれてしまった。
枕になっているラァトの袖に吸い込まれる。
止めようと思うのに、勝手にポロポロと目の端からこぼれていく涙を毛布を引き上げてその端に吸い込ませる。
不意に、私にまわっていたラァトの腕にぎゅうっと力が入り、意思を持って抱きしめられた。
大きな体に包まれている。
自分のものじゃない体温が安堵をくれる。
何も言わずに抱きしめてくれる優しさに甘えて、その腕の中で嗚咽を漏らして泣いた。