46/108
46 車中泊
いや、結構広い馬車だなぁとは思ってたんですよ。
荷物を積んでも十分にごろごろできるスペースがありましたからね。
そうか、荷台で野宿ですか。
馬車の速度的に、次の町に着く前に日が暮れてしまいましてね。
必然的に野宿ですよ。
夕飯は家から持ってきたパンにハムとか野菜を挟んで食べた。
お馬さんは草むらの木に繋いで、ラァトが荷台に厚手の毛布を数枚重ねて敷くと、周囲の木々にチョークのようなもので印を書いた。
腰のベルトにつけている小さな革の袋から、小さな赤茶色の魔石をひとつ取り出し手のひらの上にのせ。
「”結界”」
パキンと魔石が砕け散る。
周囲に変化は無いようなんだけれども。
「魔法?」
荷台に乗り込んできたラァトに尋ねれば、頷かれた。
「獣や野盗ぐらいならば退けられる。 安心して眠れ」
獣も野盗も出るんですね……了解しました、安心して眠ることにします。
旦那様(仮)が魔術師で良かったと思います。