31 魔石の使用法
魔法って何て素晴らしいんだろう。
すっかり家の中が綺麗になりました!
「こんなに簡単に綺麗になるなら、なんでもっと早くやらないんですか?」
綺麗になった台所でお水を飲みながら(お茶等の食料は軒並み全滅していた)聞けば、渋い顔をされた。
「簡単ではない。 あのサイズの虹色魔石を丸々1個消費するほどなんだぞ、魔石無しで魔法を使えば、半日は昏倒している」
……え?
キョトンとした私にラァトは呆れた視線を向ける。
「魔石を扱っているくせに、知らないのか。 魔石とは、魔道具の燃料としても使うが、魔術師が魔法を行使する際に、魔力を補う役割を果たす物だ」
なるほど。
「虹色魔石は、本来、その魔法の行使に必要な種類の魔力…たとえば、今回の浄化ならば、水と風の魔石が必要なのだが、それを1個の虹色魔石で補うことができる。 より複雑な魔法を使うとき、それがどれ程重要なことになるか……」
珍しく饒舌なラァトに感心しながら聞いていたら、ラァトの眉に皺が寄った。
「本当に知らずに売っていたのか? こんな珍重なものを、あれだけ無防備に売っていて、今まで良く無事だったな」
え? えぇぇ??
驚く私の頭を、ラァトがぐしゃぐしゃと撫でる。
「まぁいい、今後は私がお前を守る」
「そういう契約ですし? よろしくお願いします」
念押しされなくても判ってるよー、造った魔石はちゃんと国にだけ卸すってば。
「……ああ」
微妙な表情をしたラァトに目を逸らされた。