29 ダニはいかん
さて、保護という名目のもと、本日から寝泊まりすることになりました。
手際がよろしいことに、服屋で実質的な拘束を余儀なくされている間に、私の常宿から勝手に荷物が移動されていました。
後に聞いた話では、女将さんは激しく食い下がったらしいが、ご主人の窘めと(むしろ喜んで撤去の手伝いをしたのだろう、えぇ目に浮かびますとも)魔術師の押しの強さに泣く泣く引き下がったそうだ。
調印式(印は使ってないがね)が済んで、同居することが確定し、二階にある部屋の一つに案内されました。
案の定埃まみれです、まぁ、階段からして埃が堆積していたわけなんですが。
何年二階に上がってなかったんでしょうね?
さて、ひとこと申しましょう。
これだけ埃が溜まっているわけですから、当然ヤツらも生息していると思って間違いないわけです。
ヤツら…そう、ダニ共です。
ダニの居るベッドで眠りたくありません。
当然です。
いくらアレルギーがなかろうが、奴らは関係ないですから、果敢に攻めてきますから!
魔術師に…じゃなくて、ノースラァトさんに…呼びにくいからラァトでいいや、実際に呼ぶとき注意すればいいや…ラァトに力説しましたとも。
納得したらしいラァトはポケットから私がいつも高額お買い上げ時に買い物袋代わりに渡している小袋を取り出すと、中から小粒の虹色魔石を一粒取り出した。