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28 契約書に署名
合意の上、婚姻のための契約書(誓約書?)にサインした。
こちらの文字はイマイチ把握できていないが、名前だけは書けるように女将さんに特訓してもらっていたから、よかった。
「綺麗な字だな」
「……どうも…」
自分の名前だけなんですけどねまともに書けるの…と、少々複雑な気分でサインを終える。
「マモリ?」
「そう、守。 えぇと、貴方の名前は……ノー、ス?タ?リァ?……」
たどたどしく読む様子をじっと見つめられ、白状する。
「ごめんなさい。 名前は書けるんだけど、ほとんど読めないの……」
識字率の低い国だから、可笑しくはないと思うんだけど。
魔術師は少し考え、自ら書いた字を指でなぞりながら。
「ノースラァト・ロンダッド」
「ノースラート・ロンダート?」
「ロンダッドだ。 書類提出以降はノースラァト・リタ・ロンダットになるがな。 これからは、マモリも、マモリ・レイ・ロンダッド となる」
守・レイ・ロンダッド……。
そうか、名前も変わるのか…感慨深いな、契約結婚だけど。