19 それでは一言
ゆっくりと息を吸い込み、口を開く。
「では申し上げさせていただきますが。 大体、誘拐されて帰ってきたばかりの小娘を、無理矢理連れて来させた挙句、1時間以上も待たせて来たかと思えば、椅子にも座らせないまま勝手にべらべらと自分の都合ばかりを並べ立て。 まずは座らせろ、こっちは慣れない馬で足腰がくがく、夜もろくに寝てないというのに、茶の一つも出てこないし、一体どんなクソかと思えば。 魔石の仕入れ元を教えろときた。 仕入れ元を教えろってことは、今度は私を介さず魔石を手に入れようとしてるのバレバレ、ありえないこと言い出すし、教えるわけねぇだろ、非合法がなんとか言えばこっちがびびるとでも思ってんだか、親のことまで引き合いにだして揺さぶろうなんて、クソもいいところだ。 終いには、いま教えたら罪には問わんとか、ありえねぇ、大体どんな罪だよ。 どうせ権力で法もなんもかんもねじ伏せて、私を潰すなり殺すなりするつもりなんでしょうが。 私を殺したら、魔石を入手できなくなりますよ」
ニッコリとした笑顔つきで、マシンガントーク。
目を白黒させている多分貴族な感じのおっさんと、ぽかんとした顔でドアの前で衛兵よろしく立っている魔術師を見て、少しすっきりした。