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17 向かう先
ぽっくりぽっくりお馬さんに揺られる。
さっき休憩したときに、お尻が痛いことを訴えて、一人で歩いて帰ると言ったらゆっくり歩いてくれるようになった。
もっと早く言えばよかった。
街に入るが、降ろされる気配無く…不穏な方向を目指している。
「あれ? どこ、行くんですか?」
「折角だから、このまま城へ」
何をどうすれば”折角”で、”城”へ行かねばならないのか、さっぱりわからないわけです。
魔術師の操る馬は城を目指し…あぁ、城門を潜っちゃった。
「宿に帰って休みたい」
「少しだけ、顔を見せてやってくれ」
誰に?
聞きたかったが、ぐっと我慢してみた。
顔を見せれば帰れるなら、文句なんかで時間を食うのは無駄なこと。
やっと馬から下りたときにはすっかり腰砕けになっていて、魔術師に子供のように抱っこされて運ばれたことは記憶から除外する方向で。