16 仮眠後帰宅
推測しますに。
私が居なくなる=虹色魔石が入手できなくなる。
ということでこの魔術師が心配したのだと、うむ、納得。
華麗なる自己完結で、この状況の説明を付けようと思うのだがしかし。
「あー、すいません、ひとりで帰れますから」
「気にするな、どうせ同じところに帰るんだ」
深夜に救出されて明け方まで仮眠を取った後、半分眠ってる状態で強引に馬上に乗せられ、馬を操る魔術師に腕の間でちょこんと…。
一度バランスを崩して落馬しそうになったせいで、魔術師が片腕を私の腰に回してホールドしてくれるのは有り難いんですが、密着することになって居た堪れないわけです。
朝の肌寒さから守るようにマントにくるまれて、顔だけ外に出す……どこのカンガルーの親子ですかと。
朝もやの掛かる早朝で、他に人もいないから、暖かさ優先で我慢しますけどもね。
それにしてもだ。
急いでいるのか駆け足で走る馬の振動でお尻が痛い。
もう乗馬はしないでおこう、そう思うくらいには……。
王都まで徒歩で半日だったが、あと何時間この苦行をせねばならぬのかと考えると、現実逃避と疲れでうっかり馬上で寝てしまいそうになった、危ない危ない。