表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/108

11 魔石を使える人

 魔術師、あるいは魔術師でなくても魔石を使用できる人を探すため、ずっと膝に伏せていた顔を上げて室内を見回した。

 狭くはないが薄暗く人の絶望で溢れかえった部屋の中で、しっかりと私と合う目があった。

 背筋のしゃんとした、幼くても現実を見据え何とかしようとしている気概の在る目…か?

 何とかなるだろうか。

 少年はゆっくりと立ち上がり、私の方へと歩いてくる。

 そして、どすん、と私の前に座り込む。

 目にある力は、実のところもう最後の残り火なんだろうか。

 体は随分と疲れているようだ。

「…何か、食べ物は持っていますか」

 小さな声で訊ねられ、首を横に振る。

 生憎と河原へと持参していた昼食は、誘拐されたときに放置することとなった。

「……先程なにか口にしているように見えたのですが?」

 魔石を口にしているところも見られていたのか。

 持っていた小袋の口を開き、ころころと魔石と小石を手のひらに零す。

「空腹を誤魔化すのに、舐めてただけ。 残念だけど、只の石と、腹の足しにならない魔石です」

 少年は私に断りを入れてから、私の掌の上から虹色をした魔石の粒をそっとつまみ上げた。

 そうして、魔石を検分し、少しだけ目を丸くした。

「これは……虹色魔石?」

 その名称を知っているということは、この少年は十中八九魔術師なんだろう。

 確認してきた少年に、頷いてみせる。

「君が、取ってきたの?」

 取ってきた、が何を指しているのかちょっと判らない。

「それは、私が商うために所持している魔石です」

「……そう、ですか」

 私の掌の上に魔石を戻し、少年は少し逡巡してから私の目を見て口を開いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ