102 餃子フラグ
そういえば、前回誘拐された時も餃子作ってたんだっけ……。
あの時の餃子は台所で異臭を放ちながら私の帰りを待ってたなぁ。
あぁ、今回の餃子も、食す事無く片付けることになりそうです。
現在私は絶賛誘拐され中です。
昼間連行されたはずの灰色の髪の男がなぜが我が家に出没、家宅侵入した上に私を拉致。
確か昼間会った時は、旦那(多分上司)からもう私に手を出すな的な事を言われてるから安心して、的な事を言っていた気がするのですが?
「状況は刻々と変わるもんだからよぉ」
私を毛布で蓑虫にした上で担いで走っているくせに、まだまだ余裕そうな灰色の髪の男が休憩している時に疑問に答えてくれた。
「あんたぁ、人質ってやつだなぁ」
なるほど、人質ですか。
それにしても変に間延びしている言葉遣いのせいで、こっちの緊張感も削げてしまうのは、狙ってのことだろうか。
さて、蓑虫状態で暴れ疲れたけれども、こうしておとなしく運ばれてるのも癪だ。
なんとかして逃げ出さなきゃなぁ……だが、私の運動能力では奇跡でも起きなければ自力で逃げるのは困難だ。
内門を通る時に捕まるんじゃないかと期待していたら、内門の手前で赤毛の男と合流、変装なんかして偽装手形的なものと、私をバッグに詰めて門を通り抜け市民街へ逃亡。
まぁ内門だし、警備が若干ゆるいのは知ってるけど!
警備がキツイと街に買い物に行く時面倒くさいから、いつもはこのぐらい緩くていいと思うけど!
猿轡をされ鞄の中にコンパクトに収納されたまま、密閉された空間で、私はいつの間にか気を失っていた。