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卒業ロワイヤル

作者: りん

高校生活など興味はなっかた

卒業式を終えた青年に一通の手紙が届く

そして青年は強制的に戦いへと巻き込まれるのであった

老人・主婦・ニート・政治家・サラリーマンetc

なぜこんな戦いに巻き込まれたのか?

理由は簡単

…それは

青年 結城 仁が6126人目の卒業生だったからだ

3月2日


春の季節というがまだ肌寒いこの時期

いくら都会と言っても人ごみだけでは寒さはしのげない

厚着をしっかりとした者

逆に半袖姿の者

そして頭は、春仕様の若者たち

季節は変わろうとも生活の流れは変わらない社会人

様々な人間がいる中、目立つ存在が多々


黒の礼服を着た中年であろう人々

人ごみに逆らいながら

その黒は一つになるかのようにある場所へと集まっていく


学校へと



黒たちは校門を抜け受付を通り体育館に入る

そして綺麗に縦横並べられたパイプ椅子に次々と座っていく


そして「儀式」を静かに待つのであった



             〇



東京都市部 ある学校

周りの高いビルに囲まれながらも、その堂々とした姿から存在感を周囲に強くかもし出す

校舎は3階建て

校門を抜けるとそこには美しい中庭が

赤いレンガが埋められた地面、長方形型の芝生がいくらかあり、通路の赤と芝生の緑とを鮮やかに分けられている

そして決め手は中央にある噴水だ

水が溢れるように出て下に落ちて水をためる


中庭だけ見れば綺麗に整備された公園のようではあるが、通路の奥には玄関が存在しており、見上げれば確かに白い校舎があった



 

この校舎の3階

3年生たちの教室が8クラスある

教室から聞こえる声

生徒たちはお互い共有した思い出を語り合い、懐かしんでいた


「あぁ…楽しかったな高校生活」

「ああ、楽しかった」

二人は無言になり、窓から遠くを見つめていた


そのような光景がたくさん見られた

懐かしんでは無言に、その繰り返し


中には体育会系の男たちが肩を抱き合い子供のように笑っている

その眼には涙が溜められていた



そんな教室の中でそのどれにも当てはまらない青年が一人いた

青年は誰とも接することもせず、もちろん涙など溜めこんでいない

青年を取り巻く空気はとても冷たく感じられる

それは目つきのせいなのか、それとも青年が故意に放っているものなのか

どちらにしろその教室ではその青年はあまりにも異質であることは確かだった




しばらくするとそのクラスの担任の男が入ってきた

そして教卓に向かい生徒に語りかける

内容はまとまっておらず、感情をそのまま言葉にした感じだ

男はしばらく話すと生徒に体育館への入場を告げる

ぞろぞろと生徒たちは廊下へ並び体育館へ進むのだった



             〇


神崎高等学校

東京の都市部に設けられ、高層ビルに囲まれているものの、とてつもない存在感がある

中庭は一瞬公園を連想させるが見上げれば白い校舎が確かにある

今年で創立100年目を迎え、かなり歴史のある学校だ

今の校長は創立者の孫にあたる人物で、父もこの学校の校長を務めていた

生徒数は720名

教員は42名といった普通の高校であった



校舎横にある体育館で今、卒業式が行われている

教頭の「卒業生入場」のマイク越しでの合図とともに、卒業生である3年生たちが入場を始めた

総勢287名が入場を開始し、指定の席へと座る

続いて教頭が、卒業式の開始を告げた





高校ともなると小学校・中学校とは異なり、あっけなく終わってしまう

同じくこの高校も



             〇

             

午前中で帰宅する卒業生たち

といっても先ほど高校を卒業したので生徒ではなくただの男女である

男女たちは友人たちとともに行動しており、カラオケやゲームセンターなどにそのまま直行

そんな団体が見える中、単体がひとつ

冷たい空気周囲にかもし出す青年

青年はどこにも寄らず家に帰ってしまった


青年の家は学校から近く、徒歩3分の所にある

高層ビルの立ち並ぶその一つのマンション

このマンションも他と同様高層建築である

そして部屋の構造は大きなベッドとテレビ

そしてあらゆる生活必需品が設置され、北を向けば他3面の壁と変わらない大きさの窓が存在する

もちろんトイレもバスルームもある


その部屋に青年は一人で住んでいた

母は3年前に息を引き取ってしまい、父はアメリカへと移住してしまった

青年の生活は父の十分すぎる仕送りによってまかなわれていた

しかし青年は父が何をしているのか全く知らない

母が死んだその2か月後に青年に何の説明もないまま行ってしまった

ただこの部屋を息子に残して



青年はマンションの24階へと上がり637号室の前に立つ

そして青年は”結城 仁”の記載のある札の横の扉を開け、自らの部屋に帰る

仁はそのままベッドに勢いよく倒れこみ、目をつぶり思う

(高校は卒業した、やっとアメリカに行ける)

しばらく考え事をしていたがいつのまにか眠りについてしまった


             〇


大きな窓のカーテンの隙間から赤い光が部屋に差し込む

どうやらもう夕方のようだ

時計を見ると5時を指していた

眠る時ちょうど1時だったのでおよそ4時間の睡眠である

すると唐突に異常な空腹感に襲われた

そういえば帰ってからすぐに寝てしっまたので何も食べてない

身なりも制服のままだ

この格好でよく熟睡できたなと自嘲気味に苦笑し、そんなに疲れていたのかと意外に思った

仁は体を起こし冷蔵庫に向かう

夕方という微妙な時間だがこの空腹には勝てない

しかし扉を開けると中は空だった

ついため息が出た

極端に言えば希望から絶望に落とされた感覚

絶望の余韻に浸りながら思考をめぐらす

(コンビニ行こう)

そう決意し制服のまま外に出ようと扉の前に向かう

そして開けようとしたとき

ピンポーン

チャイムが鳴った


扉の目の前に立っていたのでチャイムと同時に扉を開けた

するとそこにはタキシード姿の男が立っていた

男は180㎝ぐらいで単発

手には黒いアタッシュケースがある

そして顔には笑顔が張り付けられていた

「あの、なにかご用ですか?」

警戒心はあったがそれを出さずに聞いてみる

男は明らかな営業スマイルで

「はい、お届け物に上がりました」

そういって真っ黒のケースから真っ黒な封筒を取り出した

宅配関係の人には見えないのでますます怪しい

仁はゆっくりな動きで封筒を取る

すぐさま宛先を確認しようと裏を見たが、こちらも真っ黒で何もわからない

「あの、これは」

「それはこの封筒の中身を確認してください。それでは」

男はそれだけ言うと通路へときびすを返し、ツカツカと去ってしまった


仁はしばらく唖然としていたが封筒を確認しようと扉を閉め、ベッドに腰掛ける

空腹も忘れて

それほど仁は奇妙に思っていた

父からだろうか

そう思ったが父はいつもちゃんとした輸送機関を使うのでそれはないと判断する

とりあえず見てみようか

そう思い黒い封筒を綺麗に開けて中から白い紙を取り出す

何か書いているようだ

仁はワープロで書かれたその文字を読み上げる

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