Sixth -俊輝's turn.
ようやく少し開けた場所に出た。
僕は左折し、国道の方を目指した。
未だに道幅はそれほど広くないが、僕は道のど真ん中を堂々と走る。
当然、対向車は来る。
しかし僕はアクセルを緩めない。
対向車のドライバーがパニックを起こしたのか、スリップして半回転した。
次の瞬間、激しく衝突する。
さすがの除雪車も大きく揺れる。
胃の内容物が逆流しそうになる。
だが僕は快感で仕方がなかった。
雄吾、僕は感謝してるよ。
いくら感謝しようとしてもし尽くせないくらいにね。
やっと、僕は僕という存在を知らしめることができる。
今まで僕を省いてきたクラスの奴らに。
僕は重度の人見知りで、どうしてもクラスに馴染めなかった。
休み時間でも、じっと椅子に座ってた。
みんな、僕をいないものとして扱ってた。
だから僕の存在を示してやる。復讐してやる。
邪魔する物は消す。消してやる。
消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる……!
その時、僕は耳をつんざくようなクラクションの音ではっと我に返った。
気付けば、そこは国道の交差点の上だった。
僕の目の前にある信号機は赤いランプを点している。
クラクションを鳴らしたのは路線バス、乗客も確認できた。
僕は当然旋回し、正面からバスにぶつかった。
相手が相手だけに、こちらが負うダメージも大きい。
そこかしこから悲鳴が上がっている。
僕は5メートルほどバックすると、急発進して再び体当たりした。
バスのフロントはスクラップさながらの様相を呈した。
何度も何度も、執拗に繰り返す。
僕に向かってクラクションなんか鳴らした罰だ。皆殺しにしてやる。