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13歳たちの末路  作者: おがくず亮介
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Fifth -雄吾's turn.

俊輝、うまく逃げてるか?



俺はなんとか振り切った。



そんなことを思いながら、雄吾は運転を止めていた。



猛吹雪に阻まれ、前に進めない。



暖房の出力を最大にし、温風に手をかざした。



「あったかいや……」



ふとそんな言葉が漏れた。



あったかい。



あの日も、寒いのにあったかかったっけ。






雄吾は、自販機のコーンポタージュが大好きだ。



家路の途中にその自販機があるから、よく買っていた。



何年か前の冬の日、今日みたいに雪が降りしきる日、雄吾は初めて俊輝と喋った。



「お前も、それ飲むんだ」



「うん……」



雄吾は、俊輝が両手で持つコーンポタージュを指差して言った。



ぎこちない2人。



無言のまま雄吾はコーンポタージュを飲んだ。



正直、鉢合わせしてしまったという心境だった。



俊輝は休み時間でもいつも一人でいたし、同じクラスだったが、プロフィールを何も知らなかった。



雄吾は缶の中身を飲み干すと、俊輝を一瞥した。



俊輝は雄吾をじっと見ていた。



雄吾は頭を掻いて、飲み口の裏にへばりついた粒コーンをどうにか舌で取ると、ゴミ箱に投げ捨てた。



そして、無言で立ち去るのも悪いと思い、雄吾は俊輝に告げた。



「冷めちゃうよ、せっかくあったかいのに」



「うん」



俊輝はそっと缶の蓋を開けた。



ほんの少し飲んで、口許から離す。



「お前、猫舌?」



雄吾は笑った。



つられるように俊輝ははにかんで、軽くうなずいた。






これが2人の最初のやりとりだ。



温風に当てている手を翻す。



すると、雄吾の目は涙を湛えた。



どうして俊輝を巻き込んだんだろうか?



俺、俊輝の人生、狂わせちゃったんだよな……。



次第に罪の意識が雄吾を苛む。



雄吾は暖房の出力を下げると、運転を再開した。

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