Fifth -俊輝's turn.
山道を下り続けていると、いつしか雪は少し小降りに変わっていた。
僕は動悸が止まらなかった。
ハンドルを握る手が震え、カーブが連続する道なのに、どういうわけかアクセルを踏みすぎる。
背後から誰かに追われているような気がしてならない。
僕は不意に背後を振り返った。
誰もいない。
気のせいか。
ところが、問題は前方で起こった。
サイレンとともに、パトカー三台が僕の方へ走ってきている。
僕は思わず急ブレーキを踏んだ。
前輪がロックされ、下り坂をスリップする。
止まらない。
目の前は崖、鳥肌が立つ。
岩壁に車体を打ち付けてでも止めようとハンドルを右に切る。
その瞬間、除雪車はスピンした。
排雪板が音を立てて岩壁と接触し、ようやく止まった。
死こそ逃れたものの、すぐそこにパトカーはいた。
僕は道を塞がれ立ち往生した。
「早く降りろ!」
万事休す。
避けられる道幅などない。
警官たちが、あっという間に僕の除雪車を取り囲んだ。
「な、何だこれは?」
一人の警官が声をあげた。
後輪に巻き付いたチェーンに付着していた、肉片と血。
「人を轢いたのか?」
僕は頭が真っ白になった。
まさか証拠が残っていたなんて……。
こうなったら……!
僕は意を決してアクセルを踏んだ。
ただしギアはニュートラル。
急に轟音が上がり、警官たちは後ずさる。
そして、ギアを一速に叩き込んだ。
「おい!」
何も僕を止められないよ。
お前たちに見せてやる。
除雪車はパトカーに乗り上げ、プレスした。
うち一台から炎上した。
僕は走り去る際にちらっと後ろを見た。
まもなくガソリンに引火するだろう。
やった、僕の勝ちだ。