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Fourth -雄吾's turn.
「止まりなさい!」
雄吾の後ろから命令する警官。
雄吾には当然、止まる気などさらさらない。
走れば走るほどに雪が強く降ってくる。
積雪も尋常ではなく、パトカーでは走行が困難になってきた。
雄吾は敢えて排雪板を上げたまま走った。
雪を掻かなければ、こっちに分がある。
チェーンを巻いたタイヤは力強く重い車体を動かす。
しかし、このまま走るとどこに着くのか雄吾は知らない。
「おい、何をしてる!」
助手席に乗る警官がいきり立つ。
「駄目です! 前に進みません!」
運転する警官が苦い顔をする。
アクセルを踏んでもタイヤが徒に回るだけで、いよいよ追跡が出来なくなった。
少しバックして勢い任せに雪に突っ込むが、結局はスタックしてしまう。
ハンドルを左右に切っても、一切のレスポンスが無い。
「ど、どうしましょう?」
「四駆なのにスタックするのか……」
追っている除雪車が小さくなっていく。
「停まった。バーカ、そんなパトカーなんかに捕まるわけないだろ」
雄吾は高笑いした。