Fourth -俊輝's turn.
前を走る雄吾の除雪車のウインカーが、左折の合図を出した。
ここを右へ曲がれば、初めに来た道を戻っていくことになり、町の中心部の方に行ける。
僕はハンドルを右に回した。
しかし車の大きさが掴めず、角にあった『止まれ』の標識を後輪がなぎ倒し、車体の右側に当たった。
雄吾は、よくこんな車を運転できたな。
僕は冷や汗をかきながらそう思った。
道幅が狭い上に下り坂、おまけに左は崖だ。
少しでもスリップしたら、錆びた背の低いガードレールの向こう側へ行ってしまうだろう。
幸い、という言い方もおかしいが、あのパトカーは雄吾の方を追った。
しばらくは少し安心して運転できる。
僕はできるだけ車体を右側に寄せた。
ところがその時だった。
「うわあっ!」
突然車体が揺れた。
何かにぶつかったような衝撃で、僕は悲鳴を上げて停車した。
吹雪でよく見えなかったが、少し身を乗り出すようにして前方を見る。
排雪板に、軽トラックが激突したのだ。
フロントガラスは粉々になっている。
僕はぞっとして、一旦除雪車を降りた。
そして軽トラックの運転手の口に耳を当て、手首に触れた。
呼吸も脈もない。
頭部は流血している。
僕が、やったの……?
譫言を喋るように口が勝手に動いた。
違う。
違う違う違う違う違う。
僕はやってない。
あっちが勝手にぶつかってきたんだ。
僕は悪くない。
殺してない……!
僕は除雪車に乗り込むやいなや、アクセルを乱暴に踏み込んだ。
排雪板に押されて軽トラックは横転し雪の上を滑る。
運転手がどうなったかなんて想像もしたくない。
スクラップと化した軽トラックを、最後は踏み潰した。