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13歳たちの末路  作者: おがくず亮介
14/14

Final episode

1月8日。



冬休みは終わり、学校は騒然としていた。



未成年の犯罪なので犯人の名前こそ公表されなかったが、昨日はどのテレビ局も例のニュースを大々的に報道していた。



少年2人による窃盗及び殺人事件。



片方の少年は国道を暴走しガソリンスタンドに突っ込み、もう片方の少年は旧道でハンドル操作を誤り谷底へ転落、最終的に2人とも遺体で発見された。



少年たちの末路は、『事故死』という、無機質で温もりのない三文字で世に知れ渡った。



ある評論家は、これを暴力的表現を含んだゲーム及びその他娯楽のせいだと、ここぞとばかりに得意気に批判した。



臭いものには蓋をしろ。



大人の社会に蔓延する、そんな狡猾な考えを端的にさらけ出した、歯の浮くような批判だ。



ところが、世論はあまりに安直に流され、その評論家を正義だと考え正当化する。



根本にある原因に向き合おうともせず、逃げる。



大人たちは既に答えを見失っている。



俊輝を煙たがって避けていた連中は、否でも応でも、大人を見て育ったというのに。



俊輝と雄吾がいたクラスは、空席が二つあり、まるでお葬式のように静まり返っている。



誰一人、言葉を交わさない。



そこへ中年の担任が入ってきた。



「赤羽 染谷」



俊輝と雄吾の名字を静かに告げる。



句読点を挟むには短い間を置いて。



「ニュースを見た奴がほとんどだと思うが、敢えて言う。……赤羽と染谷が亡くなった」



担任は声を震わせて続けた。



「一人一人責めるようなことはしない。だけど……、二人が死んだ責任は、間違いなく俺たちにある。そう考えている」



全員が俯いた。すすり泣く者もいる。



「いいか。陰湿な真似は絶対するな。クズな大人どもを見倣うな。……二人の死から何を学ばなきゃいけないかよく考えろ」



そう言い切ると、担任も嗚咽を漏らす。






日光に照らされた俊輝の机からノートが落ちた。









----The end.

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