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13歳たちの末路  作者: おがくず亮介
13/14

Eighth -雄吾's turn.

雄吾が走る旧道は、大正初期に既に開発を中断されていた。



元は谷底に小さな集落があって、そこと市街地を結ぶ道になるはずだった。



しかし不思議な事に、工事中、事故が多発した。



落石や土砂崩れがしばしば起こり、命を落とす者も後を絶たなかった。



祟りだ、と口々に噂された。



というのも、その集落に住んでいたのは、太古から呪術を継承している家系として一部には大変有名だった。



迷信だと言われていたが、実はその道路開発に集落の長が強く反対していて、それにもかかわらず強引に工事を行ったのだ。



開発半ばで工事は中止、未舗装の道が今でも残っている。



後に、幅員が極端に狭い上に凹凸が激しく、車両が立ち入ると危険なので、通行止めを意味するガードレールが設置された。



雄吾がぶつかっているのは、まさにそれである。



しかしそんな事はつゆ知らず、除雪車は強引にガードレールを乗り越えた。



道は急な下り坂に変わり、狂ったようにスピードが上がっていく。



路面はうねり、雄吾は姿勢を制御するだけで精一杯だった。



凄まじい吹雪で前後も左右も分からない。



スピードメーターの針は40と50の間を振れている。



ぞっとした雄吾はブレーキを踏む。



すぐに異変に気付いた。



減速、できない。



間違いなく雄吾の左足はブレーキを踏んでいるが、全く止まる気配が無い。



まるで見えない力に引っ張られるように。



差し迫る崖が雄吾を手招いているように。



2秒後、除雪車は大きく左に傾いた。



左側は谷底だ。



雄吾は悲鳴を上げ顔を伏せた。



除雪車は斜面を横転し始めた。



ふわり体が浮き、狭い運転席中に体が叩き付けられ激痛が走る。



何度も頭を打ち、雄吾の意識は朦朧としていた。



どこが痛いのかも分からない。



でも体は動かなくなっていく。



力が入らない。



除雪車が滑り落ちる斜面は、なだらかな雪から荒れた岩場に変わった。



突出した岩に当たって回転の方向が変化し、除雪車の部品が次々に取れていく。



ああ、俺死ぬんだ……。



俊輝、悪かったな……。



頭から流血し、雄吾は気を失った。



そしてもはや原形をとどめていない除雪車は、谷底の岩石へ突き刺さって、爆発した。



雄吾は二度と目を覚ますことは無かった。

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