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13歳たちの末路  作者: おがくず亮介
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Eighth -俊輝's turn.

結局、僕はただの臆病者なのか。



違う。



絶対に、違う。



人ぐらい簡単に殺せる。



僕は変わるんだ。



僕はきつく目を閉じ、ついにギアを動かせた。



見なければ、いける。



程なくして僕の暗闇の世界に生々しく響く叫び声。



車体に、何か物がぶつかる。



怖い。



逃れるように僕はギアをシフトアップする。



突然、僕の右側の窓ガラスが割れた。



雪を乗せた寒気が入り込む。



しぶとくしがみついていた機動隊の1人が警棒で叩き割ったのである。



僕は舌打ちをして、ハンドルを右へ左へ回した。



除雪車は激しく蛇行し、たまらずその機動隊員は振り払われた。



固いアスファルトに背中から落下し、バウンドしながら転がった。



僕はその様を振り返って見ていた。



ざまあみろ。



そして前を向き直した時、僕は青ざめた。



大量の燃料を積んだトレーラーが目の前に停車している。



猛スピードで僕はガソリンスタンドに突っ込もうとしていた。



距離はもう10メートルも無い。



ハンドルを切る刹那さえも無く、僕はそっちに吸い込まれていく。



抗えない。



不意に脳裏に雄吾が浮かび、次の瞬間、僕はトレーラーに突っ込んだ。



瞬時に大爆発が起こり、ガラスが吹き飛び、周りが炎に包まれる。



僕は、あの時と同じように、ハンドルに胸部を打ち付けた。



激しい痛み。



呼吸が覚束なくなり、息が詰まりそうになる。



さらに僕は気付いた。



何も聞こえない。



爆発の音で鼓膜が破れてしまった。



熱い。



雄吾。



助けて。



熱いよ。



次々に給油スタンドに引火し、炎はますます勢いを強める。



僕は割れた窓ガラスから火の海へ這い出る。



ガラスの破片が手に刺さる。



そして力無く地面に落下し、意識も遠ざかっていく。



痛い。熱い。苦しい。嫌だ。死にたくない。



様々な感情がせめぎあう。



灼熱の炎に焼かれる中で、きっと僕は死んでゆく。



雄吾……。



でも、恨んでないからね…………。

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